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昭和六十二年、バブルの狂乱に沸く東京・新宿。その華やかさから見捨てられた路地裏の地下二階に、バー『残り火』はあった。
本作は、夜の街で春を売る五十路の女・麗子を主人公に、時代の波に乗り損ねた男女たちの哀愁と連帯を描いた人間ドラマです。
地上では肩パッドのスーツを着た男たちが札束を振り回す中、地下の吹き溜まりには、リストラされた元エリート、声を失ったかつての歌姫、居場所をなくした元ヤクザといった、夢の残骸を抱えた大人たちが集う。
喉を焼くテキーラの刺激、湿ったコンクリートの冷気、そして安煙草の煙。
昭和から平成へと移ろう激動の数年間、世界がどれほど新しく塗り替えられようとも、彼らはこの聖域で「敗北の匂い」を誇り高く身に纏い、朽ち果てていくことを選びます。
バブルという巨大な蜃気楼の影で、何者にもなれなかった人々が放つ最後の輝きと、消えゆく時代への痛切なレクイエム。
湿り気を帯びた文体で綴られる、濃厚な昭和末期譚。
文字数 18,386
最終更新日 2026.08.08
登録日 2026.08.08
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