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文政の世からおよそ三十年。嘉永六年、黒船来航に沸く江戸・雑司が谷。
かつて豆吉屋の看板娘・お蜜に懐いた禿(かむろ)「小春」は、今や「お月(おつき)」と名を変え、亭主・新吉(しんきち)と貸本屋「文亀堂」を営むたくましい女貸本屋になっていた。
三十年経っても変わらぬ姿で、あの男は今日も現れる。
名を「宵書堂(よいしょどう)」
頭巾を目深に被り、大きな背負い箱を担いだ底知れぬその男は、変わらぬ丁寧語で今日も嘯く。「本とは畢竟、毒か薬と同じでございます」と。
だが――お月が手に入れ、小さな騒動を起こしたある一枚の瓦版。
彼が関わったとおぼしきそれを宵書堂は「渡していない」と言う。
黒船、大地震、疫病、そして戦火。音を立てて崩れゆく江戸、十五年の歳月。
誰かが、この泰平の終わりを望んでいる――。
情緒と狂気の連作時代ミステリ、待望の第二部。『大江戸貸本幻燈記』続編『幕末貸本幻燈記』、本は人を救うのか、それとも殺すのか。幕末ビブリオミステリーここに開幕。
文字数 1,736
最終更新日 2026.09.18
登録日 2026.09.18
文政の江戸。鬼子母神の参道に、奇妙な噂が囁かれていた。
「宵書堂という貸本屋を知っているか」
「あの男から本を借りると、望みが叶う。ただし――」
「関わった者は、みな消える」
茶屋の看板娘・お蜜は、その男と出会ってしまった。
頭巾の下の顔は、見た者すら思い出せない。
穏やかな笑み。丁寧すぎる物腰。そして——
「本とは畢竟、毒や薬と同じでございます」
本が人を殺し、本が人を救う。
お蜜は問い続ける。
あんたは何者なの。本で何をしているの。
なぜ、笑っていられるの――
江戸の闇に蠢く人の業。それを見届ける貸本屋と、黙っていられない少女の物語。
文字数 159,503
最終更新日 2026.09.18
登録日 2026.05.12
渋谷のスクランブル交差点で、同じ顔の人間が三人同時に歩いていた。
世界に発生した「バグ」を、朝霧遼だけが視ている。
フリーのプログラマーである遼には、現実の異常を可視化し、修正する異能「デバッグ」が宿っていた。
だが、バグを直すたびに代償として自分の記憶が消えていく。
誰かのために料理を作っていた気がする——それが誰だったのか、もう思い出せない。
政府の裏組織「クロノス」から監視役として派遣されたのは、銀髪の少女・月城凛。
冷徹で機械的な彼女と強制的にバディを組まされた遼は、世界を蝕むバグの正体を追ううちに、消された自分の過去と向き合うことになる。
失われた妹の存在。凛の正体。そして、世界を書き換えようとする者たちの目的——。
壊れかけた世界で、記憶を失い続ける男と、感情を持たないはずの少女が出会う。
これは、二人が「相棒」になるまでの物語。
登録日 2026.06.03
15年間、誰よりも愛し信じ続けてきた妻・美咲と、会社で恩師として慕っていた上司・桐島。
中堅商社マンの羽瀬川優(はせがわ ゆう)は、その二人に全てを奪われた。
身に覚えのない横領の罪を着せられ、社会的地位を失い、絶望のどん底で彼が目撃したのは――自分の家のベッドで、憎き上司に嬉々として抱かれ、汚らしい声を上げる最愛の妻の姿だった。
心まで殺され、ビルの屋上から身を投げようとした優。
だがその時、彼の前に謎の魔女『ライラ』が現れる。
「お前の絶望を対価に、力をやろう」
契約により優が手にしたのは、他者の肉体や神経を自在に操る魔法の『糸』
そして、かつての自分とは比較にならないほどの「圧倒的な雄としての肉体(巨根)」だった。
優しさを捨て、冷徹な復讐鬼として覚醒した優の、凄惨な反撃が始まる。
やがてその復讐は、世界の裏側をも巻き込み、巨大な異変を巻き起こしてゆく。
これは、心優しかった男がチート能力を駆使し、己の敵を精神的・肉体的・社会的に一網打尽にしていく、徹底的で容赦のないダーク・リベンジ・ファンタジー。
※タイトルからもおわかりの通りNTRからの逆襲です。
苦手な方、お気をつけて!
登録日 2026.06.03
魔導都市ゴルモアの社交界で、彼はこう呼ばれている。
「無能な三代目」――魔力ばかり人並外れて、魔法ひとつ使えぬ穀潰し。酒に溺れ、女に甘く、会社は執事任せ。
けれど、私だけは知っている。
夜ごと霧の街へ飛び、罪人だけを狩る無音の処刑人「ブリムストーン」
裁きの前に、奪われた者たちの名を、たったひとりで読み上げる男。
十三歳の私、クロエ・アルジェントは、そんな主のもとへ半年前に押しかけた、筆頭執事。祖父の遺した技のすべてを叩き込まれ、彼の「もう一つの顔」を支える、たったひとりの相棒である。
誰よりも強くて、誰よりも優しいこの人が、どうして無能と嗤われ続けなければならないのか。歯がゆい。歯がゆくて、仕方がない。
けれど今夜も、私は水差しを傾ける。「ご主人様。朝です。正確には、とっくに昼です」
これは、罪と灰の街に生きる、英雄ではない男と、一人の少女の物語。
登録日 2026.07.15
実家のカフェレストラン「ミルキーウェイ」を手伝う小学6年生の柏木蜜月は、ある雨の日、しゃべる真っ白なウサギのぬいぐるみメモリアと出会う。
メモリアは、なぜか人間の感情を分析したがる、生意気で毒舌な超AI搭載ぬいぐるみ。
プリンが美味しくなくなったという噂をきっかけに、二人はお店のピンチを救うため立ち上がる。
二人が解き明かすのは、美味しい食べ物の裏に隠された、優しくて、ちょっぴり切ない「人の心」の秘密――。
正反対な一人と一匹の「もふもふ探偵」が、お料理に隠された、人々の小さなすれ違いや温かい想いを解き明かしていきます。
美味しいおやつと、少しのミステリ。そして胸がぎゅっと温かくなる、癒やしの日常ミステリ、開店です!
登録日 2026.07.15
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