第12回歴史・時代小説大賞

第12回歴史・時代小説大賞

選考概要

全656作品が集まった第12回歴史・時代小説大賞。オムニバス構成のライトな時代小説からしっかりとした読み応えの長編小説まで、例年に劣らず多彩な作品が集まった。

一次選考を通過した33作品の中から検討を進め、編集部内で大賞候補としたのは、「仇討ちはいたしませぬが、」「江戸ねこまた酔いどれがたり ――大工・喜助と居酒屋・無名――」「大江戸貸本幻燈記」「剣術指南役打たれ役 狭間兵助」「江戸おでん人情帖 味噌田楽の町に醤油の湯気が立つ」の5作品。

選考の結果、江戸の食や長屋に住む人たちの繋がりを魅力的に描いた「江戸ねこまた酔いどれがたり ――大工・喜助と居酒屋・無名――」を『大賞』に選出。
テーマ別賞として、父の死の真相を探るため仇討ちの旅に出る「仇討ちはいたしませぬが、」に『笑えて泣ける人情噺賞』、様々な貸本によって人の業が暴かれる「大江戸貸本幻燈記」に『江戸の町の生業を描く仕事劇賞』を授与した。
その他、最終選考に残ったものの、惜しくも受賞に至らなかった作品を奨励賞とした。


「江戸ねこまた酔いどれがたり ――大工・喜助と居酒屋・無名――」は、新しくできた居酒屋を舞台に、江戸の市井の人々のドラマが描かれた作品。主人公をはじめ登場するキャラクターが非常に魅力的であり、また料理描写もまとまっていながらも非常に食欲をそそる巧みな表現で描かれていた。

「仇討ちはいたしませぬが、」は、仇討ちの旅に出ることになった主人公が、様々な人や事件に巻き込まれながら人探しをする話。自分が兄のように慕う存在が父を殺したかもしれない、という魅力的な出だしにぐっと惹かれ、先へ先へと読み進めたくなる作品だった。

「大江戸貸本幻燈記」は、ミステリアスな貸本屋が貸す本が、様々な人間の業を暴いていく江戸ミステリー。茶屋の看板娘のヒロインと貸本屋の掛け合いがテンポ良く描かれており、実在する江戸文学を物語のキーアイテムに組み込んだストーリーは、完成度が高く見事だった。

開催概要はこちら
応募総数 656作品 開催期間 2026年06月01日〜末日

編集部より

登場人物の人情味あふれる暮らしや会話、日常の小事件が生き生きと描かれていて、世界観にぐっと引き込まれました。何より料理が本当に美味しそうで、「こんな居酒屋があったら通いたい」と思わずにいられません。江戸の市井の人々の温もりが感じられる爽やかな読後感でした。


編集部より

ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。史実準拠の描写に圧倒的なリアリティがあり、高倉の死からはじまる戦後編は、if歴史の先の深い洞察を感じました。読者の皆さまが選んだのも納得の、完成度の高い作品でした。


編集部より

自分が慕う相手が本当に父を殺したのか、と葛藤する主人公・志乃介の姿が印象的でした。そんな彼が盗難事件に関わる中で、覚悟を決めていく展開にも引き込まれます。また、つらい過去を背負いつつも、常に明るく振る舞い彼に寄りそうヒロイン・いよの姿が魅力的でした。


編集部より

お蜜と謎めいた貸本屋の掛け合いがテンポよく描かれていました。貸本屋が語る「本とは畢竟、毒や薬と同じ」という言葉はキャッチーで、次は誰にどんな本が貸し出されるのかとワクワクします。妖しさや幻想的な雰囲気が独自の世界観を形成しており、読み応えがありました。

※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。

奨励賞

投票ユーザ当選者

投票総数 1,332票 当選 10名