仇討ちはいたしませぬが、

父が死んだ。
検分では事故死とされたが、背に残った浅い傷がすべてを変えた。

武士が背に傷を負って死んだ。
その事実はやがて「誰かに討たれたのではないか」という噂へ姿を変えていく。
そして、その疑いの矛先は一人の男へ向けられた。

宗助(そうすけ)。
商家の出ながら父に重用され、志乃介(しのすけ)にとっても恩ある存在だった。

「宗助ほどの男が、父を殺すはずがない」

そう信じていたはずなのに、宗助は何も語らぬまま姿を消す。
志乃介は周囲から仇討ちを望まれ旅へ出る。
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