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冷たい美貌と容赦のない毒舌で、社交界の誰もが恐れる侯爵令嬢レオノーラ。
その"最恐の悪女"が――誰もいない王宮図書館の奥で、本に埋もれてすやすや眠っていた。
見つけてしまったのは、貴族を殴って図書館送りになった左遷騎士ノエル。
人前の彼女は、鋭い言葉で相手を追い詰める恐ろしい悪役令嬢。
なのに書庫の奥では、ノエルの失敗を腹を抱えて笑い、本の話になると子供のように目を輝かせる、ただの妙な女で。
空腹も忘れて本を読み続ける姿を放っておけず、ノエルは自分の弁当をわけてやるようになる。
はじめは半分こだった昼食も、いつしか最初から二人分に。
▎ 「君にぴったりだと思ったけどね。体が丈夫で、馬鹿正直に人助けばかりして、図書館なんかに左遷されちゃった人には」
▎ 「左遷言うなオラ」
人前では他人同士。
書庫の奥では遠慮のない軽口を交わす間柄。
ノエルが彼女の名を呼びたいと尋ねると、令嬢は何でもないことのように答えた。
▎ 「それなら、ノラでいいよ」
▎ 「ノラ?」
▎ 「昔はそう呼ばれてた」
悪名高いレオノーラと、書庫で無邪気に笑うノラ。
なぜ彼女は二つの顔を使い分け、恐ろしい悪役令嬢であり続けるのか。
その素顔を知っているのは、態度は荒いが世話焼きな左遷騎士、ただ一人。
王宮図書館の片隅から始まる、秘密と昼食と軽口の異世界恋愛。
じれじれ両片思いの、ハッピーエンドです。
文字数 191,146
最終更新日 2026.08.21
登録日 2026.07.29
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