3
件
彼女の大事なものを守りたい。自分の命を救い、力を認めてくれた恩人に報いたい。
……たとえ、彼女の一番近くに寄り添うのが自分でなくても。
土領で農業研究に取り組みながらも、その成果を認められず、お飾りの責任者として扱われていた青年マティアス。
とある事件をきっかけに職を離れることになった彼を招き入れたのは、火領の次期領主ゲルトルートだった。
痩せた赤土を耕し、火領の農業を発展させるため研究に打ち込むマティアスは、自分の知識や技術を認め、熱心に耳を傾けてくれるゲルトルートに次第に惹かれていく。
しかし、彼女にはすでに夫と子どもたちがいた。
失恋してもなお彼女の役に立ちたいと研究を続ける彼に、ゲルトルートが持ちかけたのは思いもよらない提案だった。
「わたくしと結婚してもらえないかしら」
必要とされる居場所を求める青年と火領の農業の未来を切り開こうとする次期領主。
二人の出会いが火領の農業研究所の始まりとなる。
トゥーレ四領伝第一章『身代わりの風の子』へと続く、後に「傑物領主」と評されるゲルトルートの若き日を描いた外伝。
表紙画像素材:フリー素材ぱくたそ(https://www.pakutaso.com/)
文字数 36,437
最終更新日 2026.10.24
登録日 2026.10.17
「息子になってもらえないだろうか」
風領の領主から、十四歳の『少女』フィルへの依頼――
「領主様、お言葉ですが、私は女です」
「まあ、そこは大丈夫だろう」
(大丈夫って何がだ……!?)
十四歳の少女フィルは、空を飛ぶ大鷲やトビヘビに憧れながら、ルッカ飼いと毛織物の商いを営む家族とともに、風領の小さな村で暮らしていた。
ある日、行商帰りのフィルの頭上を、一羽の騎乗大鷲が飛び越えていく。
それは、フィルを領主館へ招く使者だった。
天の氏族の教師エルンに付き添われ、領主館にいくことになったフィル。初めて乗った大鷲の背から見た故郷は、今まで思っていたよりずっと広かった。
領主と対面したフィルは、そこで「息子の影武者」を依頼される。
彼女が演じるのは、風領の第二子、ウィルフォード。そしてその婚約者は、武を尊ぶ火領の姫、ヒルデガルド。
婚約を穏便に解消するまでの間、姫を怒らせることなく「婚約者」を務めてほしいというのだ。
報酬と、憧れていた外の世界へ踏み出す機会を得るため、フィルはその依頼を引き受ける。
風をまとう民。
空を駆ける鷲。
四つの属性によって均衡する世界。
空に憧れる少女は、領主の息子の身代わりとして、火領の姫の婚約者となった。
これは、一人の少女が「誰かの身代わり」として世界へ踏み出す物語。
2026/10/09表紙画像つけました。
表紙画像素材:フリー素材ぱくたそ(https://www.pakutaso.com/)
文字数 236,827
最終更新日 2026.09.21
登録日 2026.06.30
3
件