誰しも望む未来があります。しかし、その未来を実現できる人は、ひとにぎりだと考えていませんか? そんなことはありません。未来の自分を変えるヒントは、あなた自身の中にあるのです。過去に「目をつけ」「掘り下げて」「引き出す」。このプロセスの繰り返しが、あなたの未来を大きく変えるのです。ここでは、自分自身を「振り返る」ことで見えてくる、あなたが望む未来の導き出し方を紹介していきます。そう、あなたの過去は宝の山なのです。
「振り返り」の意義や効果について理解していただいたところで、本章では、具体的な「振り返り」の方法についてお話ししていきます。
まず振り返るときには、自分自身の「振り返り」から行います。自分の状態をチェックしてみましょう。気持ちが落ち着かない状態で振り返ろうとしても、うまくいきません。面倒くさいという気持ちが先に立ってしまいます。
簡単に、自分の体の調子、感情の動き、思考の動きを順番にチェックしていきます。簡単に感じ取るだけで結構です。
もしも、そわそわしたり、不安を感じている状態ならば、気持ちを落ち着けるために深呼吸をしてみましょう。
瞑想が得意な方は、1~2分瞑想してから始めても構いません。
また、両手の指を組み合わせ、頭の上にあげて、大きくのびをしながら声を出すなどして気持ちを切り替えてみるのもおすすめです。
振り返りは、手順を3つの段階に分解することができます。
1.目をつける
2.掘り下げる
3.引き出す
「目をつける」というのは、注目することです。目的と対象の範囲を時間的、空間的に特定することです。いつどこで起きたことについて、何を知りたいのか、何を探求したいのかに注目します。
目をつける対象は、今日一日という場合もあれば、三年前のことや五年先の活動などの場合もあります。任意の探索範囲を決めます。
たとえば、今後仕事をしていくうえでの自分の「やる気の素」を探るために、まだ社会のしがらみをもっていなかった幼少期の「好き」「得意」「憧れ」について探索してみようと決めることが、「目をつける」ということです。
「掘り下げる」というのは、探索範囲の内容を探究し、検証・分析することです。一日の活動を細かに思い出して検証したり、五年間の活動を洗い出して分析したりすることです。
たとえば、幼稚園や小学校の頃に熱中していたことを書き出してみて、「好き」「得意」「憧れ」などを思い出します。一つひとつのエピソードを思い出しながら、それを味わったり、分析したり、連想したりしてみます。
「引き出す」というのは、掘り下げた内容から、目的にかなう知恵や情報やアイデア、または意欲や価値観といった、目に見えないものを引き出すことです。
今日一日の学びや教訓、五年間で得られた情報や経験の価値を引き出していきます。
たとえば、幼少期の「好き」「得意」「憧れ」の経験を分析した結果、「創意工夫をする」とか「仲間と協力する」とか、「世界中の異文化を経験しながら人々と出会う」などという価値観を引き出すこともあります。
これによって、やりやすい方法や教訓、新製品や新サービスのアイデアなどが引き出されることもあります。
私たちが振り返るときに、何を対象とするかは大まかに3つに分けることができます。
それは、次の3つです。
・自分
・他人
・全体(周囲・状況)
対象に目をつけ、体験を掘り下げ、価値ある知恵や情報を引き出す。これが「振り返り」です。
引き出された知恵や情報を未来に活かすために、振り返るのです。
振り返りは、対象に目をつけることから始まります。「目をつける」というのは、目的を明確にするということです。なんのために振り返るのかを設定するのです。そうでないと、何をしたいのかわからず、うまく振り返ることができません。
目的とは、大げさなものではありません。たとえば、
・今日一日のできたことを確認する
・今日一日の活動から明日すべきことを確認する
・今日一日の活動からの学びを引き出す
など、小さなことで構いません。問題意識を整理することであり、課題を認識し、意図を明確にするということです。