文章は、大きく分けると「ですます調」と「である調」のふたつとなります。語尾が「です、ます」で終わるか、「である」で終わるかというだけのことですが、どちらの文章も、ともすると語尾が一本調子になりがちです。「ですます調」は、まだ「です」と「ます」の2種類を使い分けられますが、「である調」の語尾は「である」ばかりが続くこととなります。実際そうした文章を見ることは珍しくありません。
<文例① 語尾が「である」の連続となっている文章>
プロ野球は春季キャンプの真っ最中である。
今年は、高校野球のヒーローにマスコミの目が集まっているようである。
特に昨夏の甲子園を沸かせた球児たちが有望株のようである。
彼らのうち何人がシーズン本番に出てくるのか楽しみである。
上記の文章はわずか4行と短いせいもあり、格別違和感があるわけというほどではないと思います。しかし「である調」だからといって、必ずしも律儀に語尾を「である」に統一する必要はありません。
<文例② 語尾のであるに変化をつけた文章>
プロ野球は春季キャンプの真っ最中である。
今年は、高校野球のヒーローにマスコミの目が集まっているらしい。
特に昨夏の甲子園を沸かせた球児たちが有望株のようだ。
彼らのうち何人がシーズン本番に出てくるのか、楽しみでならない。
上記のように「である」は、いくつかの語尾に置き換えることで、単調さが避けられるとともに文章のテンポアップもはかることができます。
「ですます調」は語尾を「です。です。です」と「です」の連続や「ます。ます。ます」と「ます」を連続させないことが単調さを避ける基本です。
<文例③ 単調な例 語尾「です」を連続した文章>
プロ野球は春季キャンプの真っ最中です。
今年は、高校野球のヒーローにマスコミの目が集まっているようです。
特に昨夏の甲子園を沸かせた球児たちが有望株のようです。
彼らのうち何人がシーズン本番に出てくるのか楽しみです。
これを「ます」の連続にするとこうなります。
<文例④ 単調な例 語尾「ます」を連続した文章>
プロ野球は春季キャンプの真っ最中となっています。
今年は、高校野球のヒーローにマスコミの目が集まっています。
特に昨夏の甲子園を沸かせた球児たちが有望株と見られています。
彼らのうち何人がシーズン本番に出てくるのか、楽しみにしています。
「ですます調」の文章は、油断するとついつい語尾が「です」か「ます」のいずれかに偏りがちです。したがって「ですます調」の文章の基本はできるだけ「です」と「ます」をバランスよく配分するということになります。
<文例⑤ 「です、ます」の配分と語尾の変化を意識した文章>
プロ野球は春季キャンプの真っ最中です。
今年は、高校野球のヒーローにマスコミの目が集まっています。
特に昨夏の甲子園を沸かせた球児たちが有望株のようです。
彼らのうち何人がシーズン本番に出てくるのか、楽しみでなりません。
語尾にひと工夫加えることで、文章の印象は簡単に変わります。
次回に続く