伝わる文章術

メールの「CC」で陥りやすいミス

2019.03.14 公式 伝わる文章術 第23回
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コラム いますぐ簡単にできる
文章のブラッシュアップ法 その23
「語尾が単調だと文章はときに稚拙に感じられる」

文章は、大きく分けると「ですます調」と「である調」のふたつとなります。語尾が「です、ます」で終わるか、「である」で終わるかというだけのことですが、どちらの文章も、ともすると語尾が一本調子になりがちです。「ですます調」は、まだ「です」と「ます」の2種類を使い分けられますが、「である調」の語尾は「である」ばかりが続くこととなります。実際そうした文章を見ることは珍しくありません。

<文例① 語尾が「である」の連続となっている文章>
プロ野球は春季キャンプの真っ最中である。
今年は、高校野球のヒーローにマスコミの目が集まっているようである。
特に昨夏の甲子園を沸かせた球児たちが有望株のようである。
彼らのうち何人がシーズン本番に出てくるのか楽しみである。

上記の文章はわずか4行と短いせいもあり、格別違和感があるわけというほどではないと思います。しかし「である調」だからといって、必ずしも律儀に語尾を「である」に統一する必要はありません。

<文例② 語尾のであるに変化をつけた文章>
プロ野球は春季キャンプの真っ最中である。
今年は、高校野球のヒーローにマスコミの目が集まっているらしい。
特に昨夏の甲子園を沸かせた球児たちが有望株のようだ。
彼らのうち何人がシーズン本番に出てくるのか、楽しみでならない。

上記のように「である」は、いくつかの語尾に置き換えることで、単調さが避けられるとともに文章のテンポアップもはかることができます。

「ですます調」の変化のつけ方

「ですます調」は語尾を「です。です。です」と「です」の連続や「ます。ます。ます」と「ます」を連続させないことが単調さを避ける基本です。

<文例③ 単調な例 語尾「です」を連続した文章>
プロ野球は春季キャンプの真っ最中です。
今年は、高校野球のヒーローにマスコミの目が集まっているようです。
特に昨夏の甲子園を沸かせた球児たちが有望株のようです。
彼らのうち何人がシーズン本番に出てくるのか楽しみです。

これを「ます」の連続にするとこうなります。

<文例④ 単調な例 語尾「ます」を連続した文章>
プロ野球は春季キャンプの真っ最中となっています。
今年は、高校野球のヒーローにマスコミの目が集まっています。
特に昨夏の甲子園を沸かせた球児たちが有望株と見られています。
彼らのうち何人がシーズン本番に出てくるのか、楽しみにしています。

「ですます調」の文章は、油断するとついつい語尾が「です」か「ます」のいずれかに偏りがちです。したがって「ですます調」の文章の基本はできるだけ「です」と「ます」をバランスよく配分するということになります。

<文例⑤ 「です、ます」の配分と語尾の変化を意識した文章>
プロ野球は春季キャンプの真っ最中です。
今年は、高校野球のヒーローにマスコミの目が集まっています。
特に昨夏の甲子園を沸かせた球児たちが有望株のようです。
彼らのうち何人がシーズン本番に出てくるのか、楽しみでなりません。

語尾にひと工夫加えることで、文章の印象は簡単に変わります。

次回に続く

 

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プロフィール

亀谷敏朗
亀谷敏朗

1984年中堅ビジネス書出版社だった中経出版に入社。本づくりのかたわらセミナー事業、コンサルティング・ビジネスにも携わる。また、在職中は中小企業から一部上場企業までを横断した、企業内の教育担当者の異業種交流会を主催した。
2004年フリーの出版プロデューサーとして独立。主にビジネス書作家のデビューを支援する。
支援の一環として、新人作家の原稿づくりのアドバイスを手掛けたことから、改めて伝わる文章の研究を始める。
「名文は要らない」、「読者と編集の立場から見たわかりやすい文章」に軸足を置いた方向で、新人作家には文章の書き方をアドバイスしている。

著書

ちょっとしたことで差がつくメールの書き方

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亀谷敏朗 /
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