結局、低姿勢こそが最強のビジネススキルである

「仕事で得た情報を横流し」して、クビ(?)になった話

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1回の失敗で失ったのは、年収にして300万円!

仕事をする上での初歩の初歩である「許可取り」を怠ったがために、とんでもない失敗をしてしまったことがある。その許可を取らなかったという、たった一つの失敗のために年収にして300万円も吹っ飛ばしてしまったのだ。

2005年春、私は雑誌『テレビブロス』の編集をフリーランスとしてやっていた。2001年12月から同誌の仕事はしていたのだが、順調に仕事量は増えていった。3号につき2~3本の特集を作り、コラムの連載担当も3組を担当していた。

連載の担当でもらえるギャラはそれほど多くはないものの、毎号必ず出張校正に行かなくてはならないため、その時に編集長と雑談をしながら次の特集の話などを振ってもらえたのだ。

フリーランスなので別の仕事もやっているため、ブロスの仕事も含めると2004年段階で年収は850万円になっていた。2001年のフリーの初年度の年収は60万円だったので、その頃から考えると破格の伸びである。

当時、自分が特集を作った時は必ず読者からのハガキをすべて読み、「ブログ検索」でブロスの特集の感想を読んでは反応を探っていた。自分で言うのもなんだが、高評価だったと思う。

編集長もそれを知っていてくれたのか、とにかく仕事を振りまくってくれた。作った特集は幅広く、特に一貫性はなかった。ザッとあげるとこんな感じのテーマだ。

・『北斗の拳』
・『銀河鉄道999』
・『あたしンち』
・自衛隊
・動物キャラ
・一人鍋
・就職活動
・NOVAうさぎ
・ポストペット
・田宮二郎
・市川雷蔵
・三国志
・ラーメン
・桃屋
・光浦靖子と掟ポルシェのお見合い
・ラーメンズ
・梅雨
・『ウルルン滞在記』
・カエル
・『ドラえもん』
・スーパーマリオ
・実写版『魁!男塾』
・実写版『キャシャーン』
・クソ実写映画の数々
・『西部警察』
・ビール

他にも色々あったのだが、「便利屋」として重宝されていたとは思う。

取材で知った情報を漏らしてしまい……

そして、デカい案件が来た。A社から発売されていた食品・Xの広告案件だ。

表紙にXのキャラクターがドーンとあり、表2、表3、表4もX関連のもので、さらに4ページの特集記事だ。この特集の編集をすることになった。

A社に行き、Xのキャラクターを作ったクリエーターの取材もしたが、これが後に問題となる。取材当日はこのデカい案件を取ってきた版元の営業担当も来ていた。彼にとっては重要なクライアントの前にいるわけで、「この特集を無事に作りきればミッション・コンプリート!」みたいな誇らしい気持ちでいたことだろう。

取材自体は和やかに進んだが、この最後でやらかしてしまった。

「あ、ところで」と切り出し、「CMのキャッチコピーの『○○○○』はどういった意図で生まれたのですか?」と聞いた。クリエーターは10分ほどかけて丁寧に解説してくれた。この時にこの質問をした意図をキチンと説明をし、許可を取っておけば良かったのに……というのが一生の後悔である。

実は、これに先立ちとある出版社の編集担当から相談を受けていたのだ。彼女は様々な言葉の語源を探るブロガーの本を作ろうとしていたが、本書の目玉となるようなメジャーな言葉の語源をもう少し追加したかったのだという。

私はその場のノリで「あ、こんどXの取材をするので、あの有名なCMのキャッチコピーを聞いておきましょうか?」と言ったら、「いいですねぇ! ぜひお願いします!」となった。

この件で別にこの出版社からお金はもらっていない。あくまでも付き合いがある出版社の担当者だったので、「いつもお世話になってるからな」ということで聞くことを引き受けたのだ。

後日、私は10分間かけて聞いた内容をすべて、その日のうちにメールで彼女に送った。そこから著者にそのメールは転送され、著者はブログに一旦公開した。このXにまつわる文章を含め、単行本にする準備が始まった。

そして、ブログは公開された。そこから時間を置くこともなく、テレビブロスの広告営業担当から怒りの電話が来た。

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プロフィール

中川淳一郎
中川淳一郎

1973年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。ライター、雑誌編集などを経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『縁の切り方 絆と孤独を考える』『電通と博報堂は何をしているのか』『ネットは基本、クソメディア』など多数。

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