人事の超プロが教える、リストラ時代を生き抜く戦略

自分の「経験」だけでイキってしまう中高年社員が、会社に見放される理由

経験だけでは、今の時代のビジネスも、若手の指導もできない

勉強を怠っている人は、成果を出せなくなったり、今の時代のビジネスができなくなるだけではありません。若手の指導もできなくなります。

若手の指導をするためには、自分の「経験」と「今」の話を合わせて伝える必要があります。例えば、私たちが20代の頃はインターネットもパソコンも普及していませんでしたよね。当然スマホもSNSもありません。昔と今では状況が全然違うのです。昔の話しかできない人は、「いつの時代の話をしてるんすか?」となってしまいます。

今の時代を知らない。成果も出せない。若手の指導もできない。
これでは「いらない人」一直線です。

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50代ともなれば、これまでたくさんの経験をしています。それは素晴らしい資産です。でもそれだけでは、今の時代では活躍できません。経験と勉強、どちらも重要です。経験だけでは時代遅れになりますし、今の時代だけを見てみても正解はわかりません。

20代のビジネスパーソンは、50代ほど仕事ができる確率は低いです。なぜならビジネスは、ある程度の経験も必要だからです。勉強をしたからといって、すぐに成果が出るわけではありません。学んだことが血肉となって、自分の経験と組み合わさったときに初めて大きな力となって発揮されるのです

その点、50代のビジネスパーソンには、これまで培ってきた豊かな経験があります。経験と今の学びが組み合わされば、鬼に金棒です。経験+学びで、すごく強くなります。

通勤時間に日経を読むだけでも、読まない人とは大きな差がつく

学びといっても、それほど大袈裟に考えてなくてもいいのです。通勤時間に新聞を読む。それだけでも勉強になります。日経電子版のCMで「365日分の差は、かなり大きい」というコピーがありましたが、その通りだと思います。

机に向かって一生懸命勉強しなくても、毎朝、日経を読むだけでも、いろいろな学びがあるのです。経営、株価、景気、為替など、世の中がどう動いているのかもわかります。ビジネス書の広告も載っていますから、それらも読んでみてください。

新聞もビジネス書も、すべて読まなくてもいいのです。飛ばし読みでも、目次を見て気になる項目だけ読んでもいい。それでも読むと読まないとでは大違いです。

例えば、若手の指導をする際、「今日の日経にこんな記事が出てたから参考になるかもよ」とか「この本、読んでみたらいいんじゃない?」と言えるようになります。若い世代も新聞や本を読まない人が増えていますから、有益なアドバイスになるはずです。

若手の育成は、50代における大事な役割です。若手の視野を広げて成長を促すことができる50代なら、「いらない人」にはなりません。

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あなたの経験を活かすためには、「今」の勉強が重要です。毎日、新聞を読む。話題のビジネス書を読む。これらもリストラ時代を生き抜く、重要な戦略のひとつです。

次回につづく

 

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プロフィール

西尾 太
西尾 太

人事コンサルタント。フォー・ノーツ株式会社代表取締役社長。「人事の学校」主宰。
1965年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。いすゞ自動車労務部門、リクルート人材総合サービス部門を経て、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)にて人事部長、クリーク・アンド・リバー社にて人事・総務部長を歴任。
これまで1万人超の採用面接、昇降格面接、管理職研修、階層別研修、また多数の企業の評価会議、目標設定会議に同席しアドバイスを行う。
汎用的でかつ普遍的な成果を生み出す欠かせない行動としてのコンピテンシーモデル「B-CAV45」と、パーソナリティからコンピテンシーの発揮を予見する「B-CAV test」を開発し、人事制度に活用されるキャリアステップに必要な要素を体系的に展開できる体制を確立。これまで多くの企業で展開されている。また2009年から続く「人事の学校」では、のべ5000人以上の人事担当者育成を行っている。
著書に『人事担当者が知っておきたい、10の基礎的知識。8つの心構え』(労務行政)、『人事の超プロが明かす評価基準』(三笠書房)、『プロの人事力』(労務行政)、『人事の超プロが本音で明かすアフターコロナの年収基準』(アルファポリス)、『超ジョブ型人事革命 自分のジョブディスクリプションを自分で書けない社員はいらない』(日経BP)などがある。

著書

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