人事の超プロが教える、リストラ時代を生き抜く戦略

大リストラ時代――人事のプロが教える「ヤバイ人」と「セーフな人」の差

テレワークでちゃんと成果が出せていればセーフ

近年、非常に重要になっているポイントとしては、テレワークがちゃんとできること。テレワークというのは、「成果にコミットすれば、そのやり方は任せるよ」ということで成り立つものです

1年、半年、4半期などの目標に対して、成果を出せるのであれば、仕事の進め方は問わない。自宅にいようが、サテライトオフィスにいようが、自分でマネジメントできるよね、と。

NTTグループが、社員の勤務を原則、自宅でのテレワークとし、居住地の制限もなくす新たな制度を導入しました。コロナ禍が収束しても、テレワークは今後さらに一般化していくでしょう。

テレワークでは、上司によるマネジメントが徹底できなくなります。これからの時代は、セルフマネジメントできる人材が強く求められるようになります。

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セルフマネジメントとは、「ミッションを決め、目標を立て、実行する」という働き方です。自らミッションを示し、目標設定を行い、上司に認めてもらい、その目標を達成し、成果を出せる。これからの世の中で高い評価を得ていくのは、このような人材です。

セルフマネジメントができて、テレワークでちゃんと成果が出せるのであれば、まだまだ大丈夫です。
会社や組織、チームのビジョンを実現するために、自身で目標を設定し、成果が出せる。その成果が明確で、会社の役に立ち、世の中にも貢献している。そういう人なら、セーフでしょう。

一方、「テレワークになってヒマだなぁ。映画でも観に行こうかなぁ」みたいな人は危ないです。テレワークで誰とも会話しなくても、それなりに仕事が回っている。「このままイケるんじゃないかな」と安心している。そういう人は、罠が仕掛けられていると思ったほうがいいでしょう。

会社もそれはわかっています。「この人、成果出してないよね」「テレワークで何をやっているんだろう」「あの人、何の仕事をしているのか、よくわからないよね」、このように思われてしまったら、相当ヤバイです。会社はそんなに甘いものではありません。

まとめると、責任を負う、成果を出す、組織としての責任を追わないのなら個人としての成果を出す。この3点が、リストラされるかどうかの大きな指標となります。

組織としての責任を負っているのなら、その役割を全うする。職位に就いていないのなら、自分に望まれていることは何だろうと改めて考え、成果を出す。残された人生、今をより良くしていくことに対して全力でやっていかないと、会社の中で生き残っていくことはできません。

世の中も激しく変化しています。日本は、生産性も競争力も先進国で最低レベルになっています。急激な物価上昇が続いているのに、この30年間、平均給与も上がっておらず、アメリカの半分程度。世界主要33か国で、日本だけは賃金が下落しているのです。世界の国々が着実に成長している中、日本は完全に取り残されてしまっています。

こうなってしまった責任は、私たちの世代にあるのだと思います。政府が、大企業が、とか言っていないで、目の前のことでいいから、今より良くしていこうと立ち上がり、周りも巻き込んでいかないと、日本はますますダメになってしまいます。

職位に就いていても、いなくても、責任ある世代として一念発起して頑張らなくてはいけないのではないのでしょうか。それこそが、あなた自身が生き抜くリストラ戦略にもなるはずです。

次回につづく

 

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プロフィール

西尾 太
西尾 太

人事コンサルタント。フォー・ノーツ株式会社代表取締役社長。「人事の学校」主宰。
1965年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。いすゞ自動車労務部門、リクルート人材総合サービス部門を経て、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)にて人事部長、クリーク・アンド・リバー社にて人事・総務部長を歴任。
これまで1万人超の採用面接、昇降格面接、管理職研修、階層別研修、また多数の企業の評価会議、目標設定会議に同席しアドバイスを行う。
汎用的でかつ普遍的な成果を生み出す欠かせない行動としてのコンピテンシーモデル「B-CAV45」と、パーソナリティからコンピテンシーの発揮を予見する「B-CAV test」を開発し、人事制度に活用されるキャリアステップに必要な要素を体系的に展開できる体制を確立。これまで多くの企業で展開されている。また2009年から続く「人事の学校」では、のべ5000人以上の人事担当者育成を行っている。
著書に『人事担当者が知っておきたい、10の基礎的知識。8つの心構え』(労務行政)、『人事の超プロが明かす評価基準』(三笠書房)、『プロの人事力』(労務行政)、『人事の超プロが本音で明かすアフターコロナの年収基準』(アルファポリス)、『超ジョブ型人事革命 自分のジョブディスクリプションを自分で書けない社員はいらない』(日経BP)などがある。

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