例えば、今日自分が食べる夕飯を決めるとする。
まず冷蔵庫には何もない、無である。もはや空気を冷やしている状況だとする。
その状況で、今日の夕飯を決めたい。
まず最初に、自分が食べたいものを考える。
カレー。 そう、カレーだ。何となくだがカレーが食べたい。たまにこんな時がある。月1でカレーを食べたくなるとき。
ではカレーにしよう! ……と思った際に、ここで自分を疑う。
この時に最もおすすめしたい方法は「フレームワークを使って自分の結論を多角的に見る」ことである。
フレームワークとは、意思決定や問題解決をする時に活用できる枠組みのこと。
そして多角的というのは、「様々な目線で見てみる」ということだ。
古くから伝わるフレームワークに、「QCD」というものがある。
世の中にある多角的にものを見るためのフレームワークの中で、最もお手軽に使えて、最も覚えやすいことで有名だ。
QCDとは、それぞれ
・Quality……品質
・Cost……費用
・Delivery……完成までに要する時間や継続性
この3つの頭文字である。
このフレームワークにカレーを当てはめて見てみる。
まずはQuality(品質)。
カレーは美味しい。さらに栄養もある。見た目も魅力的だ。
何の問題もない。さすがはカレーである。
次に、Cost(費用)。
冷蔵庫に何もないのにカレーを作るだと……!? 野菜とルー買って肉も買う……!? たった一食のために!?
若干の問題を感じる。いくらカレーが大量に生産できて、日持ちすると言っても食べたいのは今日だけなのだ。同時に、その月1にこの材料コストは高いように感じる。
最後に、Delivery(完成までに要する時間や継続性)。
今すぐにでもカレーが食べたいのに、これから野菜買ってきて切って煮込んで肉炒めて……煮込んで……何時間かかるねん。ピザの宅配なら三往復はできそうだ。
そんなスピード感で今の私を満足させられるのか? 否。無理だ。というか面倒くさい。
この3つの結論を分けると以下のようになる。
賛成派、一票(Quality)
反対派、二票(Cost,Delivery)
以上により、却下。カレーは却下。
……といった具合だ。
冒頭の老夫婦の話もそうである。
Qualityの面では、100万をかけた握手会になるので孫は喜ぶだろう(握手会の運営はもっと喜ぶだろう)。
しかし、Costの面では結論は明らかだ。仮に99万でも変わらないだろう。明らかにコスト過多と言わざるを得ない。
同時にDelivery、この場合は継続性。
毎回の握手会に100万円は、ほぼ狂気だ。アラブの石油王でもそこまでやるか微妙なラインだ。実際、湯水のように100万円を扱える家庭なら問題ないが、奥さんから怒られている。さすがに100万円は継続性がない証拠だろう。
こちらの結果は、こうだ。
賛成派、一票(Quality)
反対派、二票(Cost,Delivery)
またもや、反対多数。100万はやめておけ旦那さん、孫は可愛いだろうけど。推したくなるのもわかるけど。
このように、毎回自分の決断や結論を疑い、必ず多角的に評価して判断することで、人間はミスや損失を回避できる。
今回のテーマは、もちろん仕事にも流用できる技術だ。
かくいう私も、とある案件の進め方を検討する時にこのフレームワークを活用したところ、結果的に最善と言える方法が取れたことがある。
あなたも直近で出くわした決断を迫られた場面と、その結論について当てはめて試してみてほしい。
何かの決断を迫られた際に、必ず多角的に評価してから判断すること。
それは、あなたの決断に説明や根拠を求められた際に、あなたの冷静さと、判断の妥当性に十分な説得力を持たせてくれるだろう。