ストレスに強く、自己肯定感が高くなる おばけメンタル

「悩まない人」がやっている意外な思考法

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はじめに

この原稿を書いている私は、都心の騒がしい駅前にポツンとたたずむ、小さなカフェにいる。都会のオアシスと称されるカフェだが、実際カフェにいる人々は誰もが難しい顔をしていたり、溜息をついていたりと、オアシス感は乏しい。
差し出されるコーヒーがほうじ茶に代われば、ほぼ通夜とも変わらない雰囲気だとさえ思う。
人間という生き物は、迷う。本当に迷う。道に、夢に、選択肢に。
見渡せば、世の中迷子だらけだ。
かくいう私も、その迷子の一人に他ならない。人生の迷子センターがあったらファストパス取ってでも行きたい。いっそ年間パスポートがほしいくらいだ。迷子のパレードの常連になる。

今回は、日々全てに迷っている方々に向け、迷子センター常連代表として、「人生悩みすぎ問題」を解決していきたい。

そもそも、悩むことは悪くない。問題はメンタルが擦り減ること

冒頭、自分も迷子だ!! と堂々と宣言した国民的迷子代表の私だが、意外と迷子であることは恥ずかしく思っていない。

なぜかと言うと、私はこう考えているからだ。

まず「何かしらで悩んでいる」ということはどういった状態か? これは簡単。
「決めていない」。まさに、ズバリこれである。

実際に決めるという活動は、思考し、自分に問いかけ、決断の責任を負うという一連の過程を体験する、人生において非常に有益かつ価値のある活動だ。
なので、「決める」ことも「悩む」ことも私は否定しない。胸を張っていい。悩んでいる皆さん、悩みは必要だ!

※人間として生きるにあたって、悩むことは必ず必要だ。私に至っては、毎日「超金持ちな石油王の娘と、ワールドクラスの絶世の美女に同時に求婚されたらどちらに行くべきか……!?」というインターナショナルな悩みというか、見る人が見たら「ハイハイ」的リアクションしかもらえなさそうな悩みを自分で作り上げ日々葛藤している始末だ。

では、「悩む」ことの何が問題なのか?
そう、それは「悩む」とメンタルが擦り減る。コレだ。

悩んでいる時間、嫌な想像しちゃう問題

例えば、以下の状況になったとしよう。

・職場で仲のいい同僚と、雑談ついでに業務の効率化について話していた
・同僚は「業務Aのマニュアルは、ステップが煩雑すぎてミスが起きやすいように思う。いっそシンプルにして、わかりやすいフローにした方がいいんじゃないか」と言ってきた
・自分は、業務Aは時間や手間がかかるわりに、事務的手続きの域を出ず、売り上げにも直結しないため、外注した方がよいのではと前々から思っていた
・自分は業務Aに長い間ストレスを感じており、同僚相手だったこともあって、ぐちを言うノリで「外注すべきだ」と強めの言葉でまくし立てた
・すると、同僚は徐々に不満げな表情になり「じゃあ上司にそう言えば」と言い残して立ち去ってしまった

――よくある精神的にコタえる状況だ。

気心の知れた相手だったし、たまっていた不満をつい勢いで言ってしまったけど、否定された気分にさせてしまった? それか、「私に言わないでよ」と思われた? でもぐちのつもりだったし、軽い気持ちで聞いてくれてもよくない? だけど、せっかく仲のよかった同僚なのに、これから気まずくなるのは嫌だ! でももう言ってしまったし、今さらどうしたらいいんだろう……。

……といった悩みでメンタルは擦り減っていくだろう。

この文章を読んでいるあなたも、上司や恋人、家族や友人と別のケースで似たような経験はないだろうか。
金曜日の夜にこんな悩みが発生したら最悪だ。夜も楽しめず土曜も気がかり、日曜日には笑点を眺めて静かに暮れゆくあの幸せが、まったく落ち着かない非常に苦しい時間に早変わりだ。やはり笑点には座布団が、生活には安心が大事だ。

ちなみに私は、このようなコミュニケーションのすれ違いを元としたメンタルが擦り減る経験が、多分100回ぐらいある。
そろそろ100回記念アニバーサリーとか、やってやろうかとすら思う。帝国ホテルとか借りて、BGMでオーケストラ雇って、今日の主役としてゴンドラで登場したい。
国民的迷子日本代表! ここにあり!! だ。

話は逸れたが、この状況は悩んでも答えが出ないことは間違いない。
そもそも、人は答えが出ていることにはさほど悩まない。
人間の悩みは、必ず2つ。
「過去への後悔」と「未来への不安」、それだけだ。

今回はその「未来への不安」に該当する。
だが、ここで落ち着いて考えてほしい。
もし、答えを出すこと、つまり「決める」ことができたのであれば、それは「悩む」ことができない。

簡単に言えば、「決めてしまったら、悩めない」。
なぜなら、決めたら悩む意味がないし、やるしかないから。

とどのつまり、メンタルが擦り減る悩む時間をいかに減らすか? と考えると、これはまさに「いかに早く決めるか」が大事なのである。

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プロフィール

おばけ3号
おばけ3号

作家・コラムニスト&インフルエンサー。1990年生まれ。
X(旧Twitter)にて、フォロワー数10万人超のインフルエンサーとして日常の愉快な話や、人々や社会とのコミュニケーションの関わり合いの手法を発信。聡明かつ鋭い視点と分析力に富んだ意見で、多くの企業・メディア・働く若年男女層の評価を得ている。
その実像は都内のコンサルティング会社に勤務する、現役のコンサルタント。
大手上場企業に対するSNS活用コンサルティングサービスの提供や、SNS活用セミナー登壇など多くの実績を擁する。
2020年より、タウンワークマガジン(リクルート社)へのコラム掲載や、株式会社ヴィレッジヴァンガードコーポレーションとのコラボレーション商品の開発販売等を実現し、自著『「お話上手さん」が考えていること 会話ストレスがなくなる10のコツ』をKADOKAWA社より発売。

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