小川流2018燕改革!

見えてきたクライマックスシリーズ進出。
勝負の9月、指揮官が考えていること

2018.09.14 公式 小川流2018燕改革! 第12回

「選手起用は思い通りにならないもの」
という危機管理は常に抱いている

――「2位死守」のために、たとえば相手チームとの相性によってローテーションを変更したり、打順を組み替えたりするようなことも今後は起こり得るのですか?

小川 うちのピッチャーと相手ピッチャーとの力量、あるいは相手投手とうちの攻撃陣との相性を考えたり、その時点での調子を見極めたり、いろいろな要素があるので一概には言えないけれど、実際にローテーションを変更してまで、2位狙いに行くようなことはないです。そもそも、うちの先発事情を考えると、そこまでの余裕はないというのが現実ですね。だから、僕らが最優先に考えなきゃいけないのは、いかにベストコンディションで試合に臨む態勢を作れるかということです。

――8月末には原樹理投手が二軍落ちを経験しました。「下半身のコンディション不良」という発表でしたが、9月以降を見据えた降格だったという報道もありましたね。

小川 夏場に小川(泰弘)を二軍に送ったときは、彼がまだ手術明けだったこともあって、万全を期しました。でも、今回の原に関してはちょっとコンディション不良があったので、「1回、ローテーションから外そう」と決断しました。投げようと思えば投げられたのかもしれないけど、中6日で投げるのは難しそうだったし、「もう少し休ませれば、万全の状態で投げられる」と思ったので、それであえて二軍行きを命じました。

――確かに、一軍昇格後の9月7日の対横浜DeNAベイスターズ戦では見事なピッチングを披露しましたからね。

小川 いずれにしても、早く戻ってこられたのは何よりです。

――今季の投手陣のやりくりを見ていると、小川監督、田畑一也投手コーチの苦心の跡が見て取れます。クローザー候補だったカラシティー投手を先発に転向させたこと。開幕ローテの一人だった原樹理投手をいったん、中継ぎに転向させた後に先発に復帰させたこと。前半戦は中尾輝投手、風張蓮投手を辛抱強く起用し、後半戦では梅野雄吾投手に大事な場面を任せて、一本立ちさせたこと。こうした臨機応変の対応について伺いたいのですが、これらのことは当然、開幕前には想定していなかったことですよね?

小川 もちろん、ここまで具体的には想定はしていません。でも、そもそも「起用の構想は思い通りにいかないものだ」という想定はしています。「何か問題が生じたときに、どう対応すればいいのか?」ということは、常に考えています。だからこそ、キャンプやオープン戦の時点で選手の力量や特徴をしっかりと見極めて、自分なりの判断基準、評価基準を作っておくんです。それは指揮官として当然の危機管理です。

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プロフィール

小川淳司
小川淳司

千葉県習志野市出身。習志野高校卒業後、中央大学に入学。1981年ドラフト4位でヤクルトに入団。1992年現役を引退すると、球団スカウトやコーチなどを経て、2010年シーズン途中に監督に就任。2014年シーズンまでチームを率いる。退任後は、2017年シーズンまでシニアディレクターを務め、2018年から再び監督となる。

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