小川流2018燕改革!

激動の2018年シーズンを総括
そして、「躍進」の2019年へ

2018.12.28 公式 小川流2018燕改革! 第19回

どんなに結果がよくても、
決して満足はできない性分

――改めて、来季の意気込みをお聞かせください。

小川 昨年の悔しさを踏まえて、今年は2位になりました。選手たちは本当によく頑張ったと思います。とは言え、優勝争いを経験しての2位ではなく、首位・カープには大差をつけられ、他球団と接戦の末の2位ですから、まだまだ本当の実力ではないと思います。そういう意味では、「来年は勝てるのかな?」という不安も、正直なところあります。

――「期待」よりも、「不安」の方が勝っているんですね。

小川 選手たちが一生懸命練習して、少しずつ上手になっていくということに対する不安は、もちろんありません。でも、勝敗ということになると、それはまた別の問題ですから。選手が努力して技術が向上した結果を、自分がきちんと引き出すことができるのか? そして、勝利に結びつけることができるのか? その点については、不安ですよ。ただ、それは現役だった頃に「今年はヒットを打てるんだろうか?」と不安だった気持ちと近いものですけど。

――来季、開幕して1勝を挙げるまで、その不安は続きますね。

小川 そうですね。……いや、初勝利を挙げたら挙げたで、「次は勝てるのか?」と不安になるでしょうから、ユニフォームを脱ぐまで、この気持ちは変わらないと思いますね。

――元来、悲観的な性格なのですか?

小川 僕は悲観的です。そのくせ、選手には「あまり悲観的になりすぎるのもよくない」と言ったりするんですけどね(笑)。選手には楽観的に考えて、のびのびとプレーしてほしいと思っているんです。たとえば、ヒットエンドランのサインを出したときに、頭の片隅で少しでも「もしも、外されたらどうしよう」って考えるのではなく、覚悟を決めて割り切ってほしいんですけど、自分ではそれはできないんです(笑)。

――ただ、悲観的であるということは最悪の事態を想定して、慎重になることができるというメリットもあるのでは?

小川 どうですかね? 自分ではベンチがイケイケの状態でも乗り切れないもどかしさを感じることの方が多いですけどね(笑)。

――さて、3月から始まったこの連載も今回が一応の最終回です。最後に、読者の方へのメッセージをお願いいたします。

小川 今年は本当に多くのファンの方が神宮球場に詰めかけてくれて、熱い声援を送っていただきました。選手たちにとっても、本当にやりがいのある一年だったと思います。去年と今年を比べて、野球技術は一気に向上したわけではないけれど、意識は大きく変わりました。そこにはファンの方の後押しが大きかったと思います。僕自身も、この連載を通じて、シーズンと同時進行でそのときに考えていること、感じていることをお話しすることで新たな発見もありました。連載はひとまず終了しますが、また来年3月からこの場でお話させていただきたいと思っていますので、楽しみにしていただければ幸いです。一年間、どうもありがとうございました。

 

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プロフィール

小川淳司
小川淳司

千葉県習志野市出身。習志野高校卒業後、中央大学に入学。1981年ドラフト4位でヤクルトに入団。1992年現役を引退すると、球団スカウトやコーチなどを経て、2010年シーズン途中に監督に就任。2014年シーズンまでチームを率いる。退任後は、2017年シーズンまでシニアディレクターを務め、2018年から再び監督となる。

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