入社1年目の営業スキル

営業マン必須の「上手な質問の使い分け」

2017.10.19 公式 入社1年目の営業スキル 第16回
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クローズドクエスチョンと
オープンクエスチョンの使い分け

質問には大きく分けて、2種類あります。「クローズドクエスチョン」と「オープンクエスチョン」です。分かりやすいように、まず「クローズドクエスチョン」から説明していきます。

●クローズドクエスチョン
「はい」「いいえ」で答えられる質問のことを言います。

質問:今日の朝ごはんは食べましたか?
答え:はい or いいえ

このように、相手の意思を聞きたい場合や「YES・NO」をハッキリさせたい時にこの質問を使うことになりますが、会話としては続きません。

話が続かない場合は、この「クローズドクエスチョン」を多発している可能性が高いです。こういう状況を自覚した際には、「話を広げようと頑張っているが、“クローズドクエスチョン”になってしまっている」と意識しましょう。

例えば、営業の商談に入った時、雑談で場を作ろうと話しをしても

質問:今日は暑いですね
答え:はい、暑いですね~

質問:最近、忙しいですか?
答え:はい、忙しいですね~

と、ひと言で終わってしまいます。

これが、話を続けよう、広げようとしているにもかかわらず、「クローズドクエスチョン」を使ってしまっている場合です。このような質問だけで終わることはないとは思いますが、こうした質問ばかりしていると、話が続かないので要注意です。

ただし、「クローズドクエスチョン」には、別の側面で強い威力があります。それは、「はい」「いいえ」と、相手の意思表示をハッキリさせることができる質問だという点です。

商談で、買うか買わないかをハッキリさせるには、「クローズドクエスチョン」を使って、確認しなければなりません。ほかにも、商談での約束事を確認する時、会議でまとめをする時、次回までの宿題案件を確認する時などは、「○○と、○○でいいですね!」と確認し、「はい」となれば、そこで終わります。「ここが違います」となれば、再度、確認すればいいのです。

「クローズドクエスチョン」は、使いこなすのが苦手な人も多いのですが、「言った、言わない」を避けるためにも、とても重要なスキルなのです。

では、どのような質問を使えば話が続くのでしょうか?

それは、「オープンクエスチョン」を使えばいいのです。

●オープンクエスチョン
「はい」「いいえ」で答えられない質問のことを言います。

質問:今日の朝ごはんは、何を食べましたか?
答え:パンと玉子焼きです。

というように、具体的な内容を聞き出すことができます。

この会話だけでは、ひと言で終わっているような感じに見えますが、「何を食べたのか?」がハッキリしました。営業の商談の場面でも、相手のニーズをつかむなど、相手から情報を引き出すには、必須のスキルなのです。

さきほどの会話で、どのように話を展開していけば、話がつながるのでしょうか?

質問:今日は暑いですね。暑いとき、体調管理はどうされていますか?
答え:確かに、暑いですよね~。
   エアコンの温度を下げすぎないように気をつけていますよ。

質問:最近、忙しいですか? どんな仕事が特に多いのですか?
答え:はい、忙しいですね~。
   もうすぐ新製品が出るので、そのテストと検証作業に追われています。

というように、「オープンクエスチョン」を使うと、「はい」「いいえ」で答えられないので、話は続くようになります。特に、その中でも、「5W1H」を使って質問すると、話しが深まりやすいです。

5W1Hとは、ご存知のように
・When いつ?
・Who だれが(と)?
・Where どこで?
・Why なぜ?
・What 何を?
・How どうやって?
です。

例えば、
質問:昨日の夜、何を食べましたか?
答え:カレーです

という会話になったとします。

人は、言葉を省略する生き物です。なので、普段からこれだけで会話が成り立ってしまいます。日常会話や慣れた人との会話の場合は、「なんとなくの雰囲気」で理解できてしまいます。ですが、ビジネスの現場では、勘違いをして間違えてしまう原因にもなるので要注意です。

実は、この中には、まだ、分からない要素がたくさん詰まっているのです。これを「5W1H」で分解し、ハッキリさせていくのです。

例として、カレーを食べたと言うことを、詳しく分解して確認していきます。

When「いつ?」
質問例:具体的に、何時にカレーを食べたのですか?
※自分の食事時間が、みんなに当てはまると思ってしまいがちです。

Who「だれと?」
質問例:カレーは、だれと食べましたか?
※一人なのか、家族となのか、友達となのかは、聞いてみないと分かりません。

Where「どこで?」
質問例:カレーを食べた場所は、どこですか?
※自宅だけとは限りません。カレーハウスかもしれません。

Why「なぜ?」
質問例:なぜ、カレーにしたのですか?
※カレーを食べた理由があるはずです。

What「何を?」
質問例:カレーの具材は何ですか?
※何カレーを食べたのかは、質問してみないと分かりません。「カツカレー」「コロッケカレー」「ビーフカレー」などなど、カレーも多岐にわたります。

How「どうやって?」
質問例:どうやって食べましたか?
※例えば、カレーをライスで食べたのか、もしくはナンで食べたのか。これも、より具体的に相手の情報を引き出す質問になります。

最初の質問では「カレーです」と、カレーを食べたことしか分かりませんでしたが、場所、人、種類、時間などがハッキリしました。ここではあえてわかりやすくカレーの話を例にしましたが、お客さまとの会話の中でいろいろな情報を聞き出す時に、この「5W1H」の質問はとても使えるスキルなのです。

このように「クローズドクエスチョン」と「オープンクエスチョン」を使い分けることで情報を引き出し、相手に行動を促したり、商談をまとめたりできるようになります。

ぜひ、この質問するスキルを意識して、効果的に使ってみて下さい。今までと違う会話の展開になるはずです。

次回に続く

 

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プロフィール

大岩俊之
大岩俊之

理系出身で、最新のエレクトロニクスを愛する元営業マン。
大学卒業後、電子部品メーカー、半導体商社など4社で法人営業を経験。いずれの会社でも、必ず前年比150%以上の営業数字を達成。200人中1位の売上実績を持つ。
独立起業を目指すなか、「成功者はみな読書家」というフレーズを見つけ、年間300冊以上の本を読むようになる。独立起業後、読書法やマインドマップ、記憶術などの能力開発セミナー講師をしながら、法人営業、営業同行、コミュニケーション、コーチングなどの研修講師として7,000人以上に指導してきた実績を持つ。年間200日以上登壇する人気講師として活躍している。
主な著書に、『格差社会を生き延びる“読書”という最大の武器』(アルファポリス)、『読書が「知識」と「行動」に変わる本』(明日香出版社)、『年収を上げる読書術』(大和書房)、『1年目からうまくいく! セミナー講師超入門』(実務教育出版)などがある。

著書

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「頑張っているのに成績が上がらない」「実は人と話すのが苦手」「営業の仕事が...
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