ただし、役割は多ければ苦しく、少なければ楽、という単純な話でもありません。
役割が少なくなることでも、人は揺らぎます。
仕事で任されることが減った。
異動して、立ち位置が変わった。
子どもが手を離れた。
親の世話が一段落した。
病気やけがで、以前のように動けなくなった。
誰かに必要とされている感じが薄くなった。
すると、空いた時間はできるかもしれません。
でも、その空白が自由ではなく、不安で染められることがあります。
何をすればいいのか。
自分は誰に必要とされているのか。
どこに立てばいいのか。
そんな感覚が出てくる。
つまり、問題は役割の数だけではないのです。
役割は、人を縛るものでもあり、人を支えるものでもあります。
ただ減らせばいいわけでも、ただ増やせばいいわけでもない。
だからこそ、まずは今の自分と、その役割の関係を見ることが大切です。
では、どうすればいいのでしょうか。
いきなり役割を減らす必要はありません。
全部を手放す必要もありません。
そもそも、そんなに簡単に下ろせない役割もあります。
仕事。
家族。
親のこと。
人間関係。
健康。
お金。
将来。
「はい、今日から全部やめます」とはいきません。
人生は退会ボタンがわかりにくい。しかも、たぶん押せない。
だからまず、見えるところに出してみる。
今、自分はどんな役割に呼ばれているのか。
働く人なのか。
支える人なのか。
調整する人なのか。
気づく人なのか。
親を気にかける人なのか。
家を回す人なのか。
自分の生活を管理する人なのか。
そして、もう一つだけ見てみる。
その役割は、自分を支えているのか。
それとも、義務として生活を覆っているのか。
それを失ったとして、自分は揺らいでしまうのか。
役割に応えることは、大切です。
でも、役割に応え続けることで、自分の声が聞こえなくなっているなら、少し立ち止まってみてください。
しんどさは、あなたが弱いからではありません。
役割との関係が、今の自分に合わなくなっているサインかもしれません。
まずは、自分を呼んでいる役割を見えるところに出す。
そこから、自分を責める以外の見方が始まります。