友達0のコミュ障が「一人」で稼げるようになったぼっち仕事術

会社を辞めて「好きなことだけ」してみたら、ヤバいくらい迷走した話

好きなことならうまくいく?

これまで、コミュ障の私が会社でいかに失敗してきたか書いてきました(詳しくは、第4回「「チームプレイが苦手……」コミュ障が社会に出てフルボッコされた話」を読んでください)。
それで私は「一人でやったほうがうまくいくんじゃないか」と思って、軽いノリで会社を辞めてしまったのですが……今回は独立してからの日々について書きます。

驚くなかれ、私が会社を辞めて最初にやったことは、小説の執筆です(笑)
当時の私が毎晩のように膨らませていた妄想は、組織の歯車ではなく一個人として成功し、有名になること。いま思えば噴飯ものの安易さですが、小説家になることは小さい頃からの夢でもあったので、当時の私は真剣そのものでした。

小説家デビューすべく、誰にも執筆を邪魔されないように引っ越し、それまでの人間関係もスマホごとバッサリ。それで、清々しく生まれ変わったような気持ちでした。

ちなみに住むことにしたのは、シェアハウス。人嫌いのコミュ障なのに何してんねん! という話ですが、衣食住を共にすれば自動的に友達ができると期待したのです。会社辞めて一人で不安だったし、あと、家賃も安くて一石二鳥やん、と。

結果は、ぜんぜんうまくいきませんでした。キッチンにいたら何作ってるのか聞かれるし(話しかけられるの苦手)、排水溝は人の髪の毛で詰まってるし(他人の髪の毛怖い)、何より他人の生活音・ニオイがほんとダメで……

結局、そういうのから逃れるべく、シェアハウスなのに部屋のドアの隙間をクッションで埋めて引きこもることに。キッチンに行きたくなくて、部屋でバナナばっか食べるようになり、シャワーを浴びるのは誰とも顔を合わせずに済むように早朝か深夜。
余談ですが、無職で挙動不審だったせいで管理人さんから敵視され、わりと早い段階で追い出されます(涙)

まあそれはともかく、貯金は200万円あったので1年間は無収入でも生きていけると計算した私は、短期集中で勝負を決めるべく、バイトなどは一切せず、1年間の100%のエネルギーを小説執筆に注ぐことにしました。この間、勉強しまくって新人賞に応募しまくって、それでも結果が出なければスッパリ諦めて別の道を考える、と決めたのです。

1本目に書いたのは、元エンジニアで小説家として大成功した伊坂幸太郎さんを夢見て、精巧なプロットかつ読んで楽しいライトな文体のミステリー作品。しかし、書いているうちに脱線していってプロットはグダグダに。取り返しがつかないまま無理やり完結させました。

2本目は、恩田陸さんみたいな、キャラが勝手に動き出す系を試してみました。しかし私が生み出したキャラは全然動いてくれず、物語を進めるために新たな登場人物を増やしまくった結果、誰が主人公なのかも定かでない代物になりました。

3本目は、三人称で書けばもっと高い視点から冷静に物語を進められるかもと思ったのですが、風景や心境などの描写をどのキャラ視点ですれば良いのかわからなくなり、人称が混乱。致命的だったのが、他人の気持ちを想像できないこと。自分とかけ離れたキャラの言動が不自然極まれりでした(白目)

その後も、書いても書いても一次審査すら通過できず、最後の頃には「小説を書くのが好き」という気持ちは雲散霧消していました。

気づくとインフルエンサーを目指していた

小説執筆に1年間集中すると燃えていた私ですが、数ヶ月経って冬が近づいてくる頃には、なぜかインフルエンサーを目指していました。

会社をやめた当初は、とにかく何かのスペシャリストになりたいという憧れが強烈で(小説家もこれなんですが)、中途半端なITスキルのことは忘れて一点集中しようとしたんです。
で、当時、精神安定剤がわりに読んでいた意識高い系の本に影響されまくった結果、インフルエンサーを目指すことになり、そうした本で謳っていた「誰でもできる」「個人で稼げる」方法を一通り試しました。

具体的に何をしたかというと、YouTube、クラウドソーシング、ブログです。
YouTubeでは読んだ本をパワポにまとめて動画で解説したのですが、待てど暮らせどP V数は一桁台をキープ。動画を見直して客観的分析を試みると、内容以前に、声が微妙、話すテンションが低い、顔が見えない(そもそも顔出ししたくない)、などコミュ障的な難題が多すぎて挫折しました。
クラウドソーシングというのは、「1記事=◯◯円」といった仕事の募集を不特定多数にかけるものなんですが、いくつかやってみたものの時給換算したら数十円でした(笑)

唯一ブログだけは「気が向いたら書く」というお気楽な感じにすることで何とか続けることができ、三年後には月3~5万円をコンスタントに稼げるようになりました。
ちなみに私のブログで人気なのは、すぐに役に立つ具体的な情報を載せた短い記事です。テレビを持っていないのに、年末どうしてもリアルタイムでお笑い番組を見たくて、無料・リアルタイムでテレビを見る方法はないか、海外サイトまで漁って探し当てたものをまとめた記事は、未だにそこそこPVを稼いだりします。

ご感想はこちら

プロフィール

末岐碧衣
末岐碧衣

コミュ障で友達0人のシステムエンジニア。早稲田大学理工学部卒業。新卒でITコンサルティング企業に入社したものの、コミュ障が爆発し、人間関係が崩壊する。うつにより休職した後は、コミュ障の自覚を持ち、チームプレイを避けて一人でできる仕事に専念するようになる。2015年フリーランスとして独立。一度も営業せず、独立前の年収3倍を達成。

著書

友達0のコミュ障が「一人」で稼げるようになったぼっち仕事術

友達0のコミュ障が「一人」で稼げるようになったぼっち仕事術

末岐碧衣 /
「コミュ障」で「友達が0人」という、社会にうまく適応できない著者が、多くの...
出版をご希望の方へ

公式連載