その仕事、誰かに任せなさい!

部下にナメられない上司は、仕事力よりも「ポジショニング力」が卓越している!

2020.03.06 公式 その仕事、誰かに任せなさい! 第17回
Getty Images

ポジションを上げる具体的な方法

皆さんは部下に対して、6つのランクのうち、どこに位置していると思いますか?
おそらく部下が複数人いる場合には、その部下によってポジションランクが異なるのではないでしょうか。

ある部下にとっては無害な人、別の部下にとっては憧れ、また別の部下にとっては情報屋というように、部下ごとに異なるポジションに位置することが普通です

皆さんが日々「この部下は仕事がしやすい」「この部下は仕事がしにくい」と、部下によって付き合いやすさが変わるとしたら、それは実は、あなたのポジションが違うのです。

ではどうすればポジションを高めることができるか、具体的には以下の3つのステップを踏んでみましょう。

① 自分のポジションランクを正しく把握する
② 「狙うポジション」を決める
③ ポジションを上げるためのアクションを増やす

① 自分のポジションランクを正しく把握する
自分のポジションランクを正しく把握するためには、「部下から見た自分」という視点が必要です。上司であるリーダーは、上司から見た部下がどんな人であるかをよく観察していると思いますが、「部下からどう見られているか」を意識している人は多くありません。
部下からどう思われているのか、それをこのポジションランクに当てはめて考えてみると、自分の取るべきアクションが見えてきます。

② 「狙うポジション」を決める
次に、狙うポジションを決めます。ここで私は、基本的には⑤ランクの「同志」を狙うといいと考えています。部下との関係において、④までの関係というのは、ベストではありません。⑤か⑥の関係になると、任せやすさ、任せた後のスムーズさが飛躍的によくなります。ランク⑤の「同志」を目指すと、自然と相手の悩みも引き出せるようになるので、④は目指さず、⑤を目指すことをおすすめします。ランク⑤の部下が増えると、その中の何人かは⑥へとステップアップしてくれるはずです。

③ ポジションを上げるためのアクションを増やす
「同志」になるためには、上司も部下も目標を持っていることが前提です。
上司であるあなたが部下に目標を示し、部下は自分が達成したい目標を持っていなければ、「同じ志」という状態になりません。
したがって、まずあなたが目標を持つこと。
そのうえで、部下の目標を引き出し、共通の目標へすり合わせて行くことが必要です。

相手の大切なことを大切にする

同志の関係になるには、部下の目標を引き出す必要があります。
皆さんは部下の目標を上手に引き出しているでしょうか?

目標とは、掲げたら目標になるわけではありません。
売上目標、達成目標など、上から与えられただけの「目標」は、形式的に掲げているだけになりがちで、本人が本当に目指したいと思えるものになっていることが重要です。

部下は、自分が何がしたいのか、どうなっていきたいのか、ということを明確に持っていないケースが多いと思います。
自分の向かう方向性を自分で把握できていない部下と「同志」になることはできません。

そこで、上司は部下の目標を「本当に目指したいもの」として引き出す必要があります。

・これからどうしていきたい?
・どんな成果を出したいと思っている?
・どんな能力を身に付けたいと思っている?
・どんなキャリアを歩みたいと思っている?
・どんな人物になりたいと思っている?
・もしもそんな未来になったらどんな気持ちになる?

上記のような質問を、部下と時間を取って話し合い、繰り返すことで、部下の目標もはっきりしたものになって行きます。

「目標」を自分のものにするのは、社会人にとってなかなか難しいことです。

皆さんも、新入社員の頃は、目標を自分のものにできていなかったのではないでしょうか。
いつしか経験を積むうちに、「絶対に達成したい」「やり遂げたい」という気持ちを育ててきたのだと思います。

上司は、そのスピードを早めてあげることが重要なのです。

部下に仕事を任せる際、「いかに仕事を進めるか」に目がいきがちですが、「上司のポジションを高める」ことに注力すると、急がば回れ、部下の目標を上手に引き出し、自分の目標を伝え、同志の関係性になることが、仕事の生産性を大きく高めることになります。

自分のポジションを高めることは、部下の大切にしていることを大切にすることです。部下が目指したい目標、部下が達成したいゴール、部下が実現したい未来、それが何かを聞き出すことは、部下が大切にしたいことを理解することと同じです。

したがって、自分のポジションを高めることは、自分のために行うことではなく、部下のためでもあるのです。
部下にとって、上司が自分の大切にしていることを理解し、一緒に目指してくれることは、仕事のやりがいを大いに高めてくれます。

自分のためにも、部下のためにも、「上司のポジショニング」に着目し、相手にとってより価値の高い存在に変革できるよう、上司も努力が必要です。

ぜひチャレンジしてみてください。

次回へ続く

 

ご感想はこちら

プロフィール

高野俊一
高野俊一

組織開発コンサルタント。
1978年生まれ。日本最大規模のコンサルティング会社にて組織開発に13年関わり、300名を超えるコンサルタントの中で最優秀者に贈られる「コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を獲得。これまでに年200回、トータル2000社を超える企業の組織開発研修の企画・講師を経験。
指導してきたビジネスリーダーは累計2万人を超える。
2012年、組織開発専門のコンサルティング会社「株式会社チームD」を設立、現代表。
2020年よりYouTubeチャンネル『タカ社長のチームD大学』を開設。2023年6月現在、チャンネル登録者約3万5000人、総再生回数380万回。
2021年より、アルファポリスサイト上にてビジネス連載「上司1年目は“仕組み”を使え!」をスタート。改題・改稿を経て、このたび出版化。
著書に『その仕事、部下に任せなさい。』(アルファポリス)がある。

著書

チームづくりの教科書

チームづくりの教科書

高野俊一 /
成績が振るわない。メンバーが互いに無関心で、いっさい協力し合わない。仕事を...
その仕事、部下に任せなさい。

その仕事、部下に任せなさい。

高野俊一 /
通算100万PVオーバーを記録した、アルファポリス・ビジネスのビジネスWeb連載の...
出版をご希望の方へ

公式連載