――では、嬉しい誤算というのか、「収穫」はいかがですか?
高津 収穫はやっぱり、奥川(恭伸)ですね。当初は中10日の感覚を空けて投げる難しさがありました。彼もとまどっていたと思うけど、ようやく最近では徐々に慣れてきて、自分が思うようなボールを投げる確率が上がってきたと思いますね。ケガをさせないような細心の注意を払う中で、いい経過を残しつつある。後半戦に向けての楽しみが増えた気がします。
――昨年もシーズン最終戦まで一軍に上げなかったり、今季も80球前後で早々に交代したり、細心の注意を払っているのはよく理解できますが、ある意味ではかなりの過保護のような印象も受けます。
高津 確かに過保護って言えば過保護ですね。こんな感じでローテーションを回っている若手投手はなかなかいないですから(笑)。ある意味では特別待遇です。ただ、これは来年以降、中6日できちんと一年間投げられるように、5年後、10年後に真のエースになっているように、そのための段階を踏んでいるんだと思っています。確かにちょっと過保護かもしれないけど、僕は納得して起用しているつもりです。
――現在では侍ジャパンメンバーでもある村上宗隆選手も、そのような起用で2年目に大ブレイクを果たしました。これはヤクルト球団として、高卒選手の育成方針でもあるんですか?
高津 もっと選手層の厚いチームなら、数年かけてファームで徹底的に育てることもできるかもしれないけど、うちの場合はある程度、ファームで経験を積んだら一軍で試合に出ながら鍛え上げるというケースが多いです。ムネ(村上)にしても、ヤス(奥川)にしても、今後彼らがどのような選手になるのかはわからないけど、「今は間違ったことをしている」とは思いたくないし、これが成長過程の一環で、必ず成果、成功となって返ってくるものだと信じています。
――さて、27日からはパ・リーグチームとのエキシビションマッチが行われます。公式戦が約一カ月間行われず、東京五輪のために神宮球場も使えず、侍ジャパンメンバーである山田哲人、村上、マクガフ選手が不在の中での試合となります。この間の8試合はどのような狙いで、どのような戦いをするお考えですか?
高津 一カ月もの間、公式戦がないというのはすごく難しいですね。後半戦に向けての準備期間として、有効に活用しなければいけないと思っています。選手によっては、気持ちの面でリフレッシュしたり、身体のケアをしたりしなければいけない。また若手選手にとっては実戦を通じて鍛える必要もある。この間には普段は見られない二軍の選手を見るチャンスも多くなるので、彼らの打っている、投げている姿をしっかりと見て、現在の力量を確かめる機会にしたいです。
――試合勘を損なわないようにしつつ、若手も積極起用するということになりそうですね。
高津 たとえば、サンタナ、オスナの両外国人であったり、ノリ(青木宣親)のようなベテラン選手に対しては2~3打席で退くこともあれば、最初から欠場することもあると思います。その一方では、ファームで調整中のベテラン選手や若手にチャンスを与えることもあります。いろいろなパターンで8試合を戦いたいですね。