2022東京ヤクルトスワローズ髙津流 熱燕マネジメント

髙津監督が自宅療養中に改めて感じた
チームの強さと弱さ、村上選手への思い

村上宗隆に芽生えた責任感と自覚

――選手たち大量離脱が判明した際に、村上宗隆選手が「自分がチームの中心にいる」とか、「みんなが戻ってくるまでに、チーム状況など同じ位置でいられるように頑張る」と発言しました。こうした発言に対しては、どのように受け止めましたか?

髙津 今年のムネ(村上)に関しては自覚が出てきていますね。やっぱり今までは、ノリ(青木宣親)や(山田)哲人についていき、ムーチョ(中村悠平)に刺激されていた部分が大きかったですけど、今回の一件をさらにいい機会にしていたと思います。彼の場合は、ただ打つだけ、ただ守るだけの選手ではないですから。ムネにはすべての面においてチームを引っ張って行く存在になってほしい。たとえ自分が打てなくても、チームを勝たせることはできると僕は思っていますから。

――監督が戦列に復帰した20日の巨人戦において、村上選手はお立ち台で「勝つことって難しいなと。2年前は苦しい試合をずっと続けてきた中で勝つことが当たり前ではなかったので、今こうやって勝つという喜びを実感できていることが幸せです」と語りました。

髙津 そうですね。これだけ主力選手が抜けた状態の中で戦ってきたことで、「勝つ難しさ」を、より痛感したことと思います。チームにおいて軸となる「エース」「抑え」、そして「四番」というのは、やっぱり厳しい立場ですよ。首脳陣としては求めるものも注文も多くなります。でも、彼らはそれに応えた上で結果を出さなければいけない。矛盾する言い方になるかもしれないけれど、注文も出しつつ、でも少しでもリラックスしてグラウンドに立てるような状況を僕らは作らないといけないと思っています。

――チームの軸である村上選手との接し方について、意識していることはありますか?

髙津 もうムネに対して注文をつけたり、注意したりすることはほとんどないです。彼に対してずっと言っているのは、「プレッシャーとか恐怖心に囲まれて、プレーが小さくなることだけはやめてほしい」ということだけです。ミスをしたときに、「今度はミスしないようにしよう」と考えることはとても大切です。でもだからと言って、それを気にしすぎて、本来の自分の持ち味を消してしまったり、本当の自分のプレーができなくなってしまったりしては何も意味がないですから。

――今のところ、そういう心理状況になっている気配はありませんか?

髙津 ないですね。もしもそうなっていたら、「しっかりせんか!」とカツを入れると思います。今のところは自分が打てなくても、「次のバッター、お願いします」という気持ちで「サンタナ頑張れ、オスナ頑張れ!」という姿勢が見受けられる。ベンチで大きな声が出ている間は、多少結果が出なくても、僕から文句を言うことはないですね。

――この間の心境については、また次回も引き続き伺いたく思いますが、本日から始まる後半戦に向けて、改めてファンの方にメッセージをお願いします。

髙津 大幅に選手が離脱したことで、前半戦の最後ではベストメンバーを組めない状況が続きました。僕はいつも「ファンの方が期待されている野球をやりたい」と思っています。今日から始まる後半戦では、ちゃんと戦力も戻ってきたので、みなさんが期待している野球を思い切りお見せするつもりです。スピード、パワー、野球の奥深さ。「どんな作戦なんだろう?」「どんな起用法なんだろう?」「どうやって勝つんだろう?」と、ワクワクドキドキする試合をお見せします。「苦しいときでも、何とかしていくスワローズ」を楽しみにしていてください!

 

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

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2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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