リーグ2制覇達成から、2年連続5位に沈んだ東京ヤクルトスワローズ。怪我人は絶えず、投打ともに大不調にあえぎ、指揮官髙津監督も大いに苦しむこととなった。
今シーズン「捲土重来」というスローガンを掲げた髙津監督は、どんなビジョンでチーム再建を図るのか。本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、復活にかける髙津監督のマネジメント術をお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――村上宗隆、長岡秀樹両選手の復帰後、打線に厚みが増し、少しずつ理想的な打順が組めるようになってきた印象があります。
髙津 ここ最近の試合に象徴されるように、やっぱりムネ(村上)がいる、いないというのは、改めてその存在の大きさというものを痛感しています。今年は巨人・岡本和真選手だったり、DeNAの牧秀悟選手であったり、他球団の四番選手も故障で離脱していますけど、四番がいるといないとでは、自分のチームはもちろんですけど、相手チームにかかるプレッシャーも全然違ってくるので、それぞれの監督はみんな頭を悩ませていると思います。

――それにしても、村上選手は戦線復帰以来、効果的なホームランを量産していますが、監督としてもかなり頼もしいのではないでしょうか?
髙津 ムネの復帰前と後とでは、戦力の厚みはもちろんだけど、点の入り方が大きく変わりました。ムネの存在は大きく、誰も代わりを務められないのはもちろんですけど、同時に(長岡)秀樹だって、それまで頑張っていた伊藤(琉偉)だって、赤羽(由紘)だって、彼らの代わりはいません。だから一概に比べることは難しいです。やっぱり、それぞれの良さや特徴は間違いなくありますから。チームが苦しいときに、自分の持てる力を存分に発揮してくれたのが伊藤と赤羽だったので、今後もいろいろな場面で使っていきたい。彼らが、そう思わせてくれる選手になってくれたのは嬉しいです。
――例えば山田哲人選手や、故障明けの長岡選手を休ませて、その間に伊藤選手や、赤羽選手を使うケースも見られます。中心選手の離脱は痛かったけれど、結果的には若手の成長を促すことができたという意味では、収穫もあったのではないですか?
髙津 もちろんです。もう、シンプルに彼らは大きく成長しましたよ。だから、もう「このぐらいはやってくれる、このぐらいはできる」というように彼らを見られるようになったし、逆に「このままじゃダメ、まだまだこれが足りない」ということも見えるようになった。本人たちも、不動のレギュラーになるために必要なこと、チームにおける現在の立ち位置など、自分の足元を見つめ直すいい時間になったとは思いますね。