アメリカのものは自分のもの!これではまるで「UNITED STATES OF TRUMP」では?公共財産・施設、政策を私物化するトランプ

2026.01.13 Wedge ONLINE

 米国のトランプ大統領による公共財産・施設の”私物化”が進んでいる。国内良識派の間からは「United States of Trumpの国造りだ」として批判が強まる一方だ。

(ロイター/アフロ)

由緒ある文化施設に自らの名

 首都ワシントン、ニューヨーク、シカゴ、アトランタ、サンフランシスコなど全米主要都市を中心に一斉に「NO KINGS」(王様はいらない)デモが繰り広げられたのは、昨年10月のことだった。トランプ大統領の一連の専制的内外政策に抗議したもので、都市、町村部合わせ2700カ所で行われたデモ・集会参加者は史上最大規模の700万人近くにも達した。

 その一方で、大統領は臆面もなく、政治・経済のみならず、音楽、芸術家の自由な活動にも介入し、美術館の展示内容に制限を加えるなど、恣意的言動があいついだ。

 最近でとくに物議をかもしたのが、ワシントンD.C.のポトマック河畔にある由緒ある国立総合文化施設「ジョン・F・ケネディ・センター」(正式英語名はJohn F. Kennedy Center for the Performing Arts)をめぐる大統領個人の強引な“乗っ取り”事件だ。

 同施設は古くから、オペラ、ミュージカル、バレーなどの公演のほか、ワシントン・ナショナル交響楽団の定期演奏会の場としても知られ、地元のみならず、首都を訪れる多くのファンに親しまれてきた。

 筆者も、ワシントン特派員時代、隣接するアパート「ウォーターゲート・コンプレックス」に住んでいたこともあり、目ぼしい演目のたびに足しげく通ったが、料金以上の質の高さに常に心満たされるものがあった。

 “乗っ取り”騒ぎは、昨年1月20日、トランプ氏がホワイトハウスに返り咲いた直後に始まった。大統領はまず、理事会改変に乗り出し、すでに連邦議会の承認を得て就任していた23人の理事のほかに、新たに自分の側近、友人たち34人を理事に任命して合計57人の大所帯とし、理事会審議での多数支配体制を敷いた。

 その上で、同年2月、開催された理事会でこれまでの理事長を解任し、自らが後任として就任した。

 米マスコミは、貴重な文化施設に対する強引なやり方を一斉に批判した。

 しかし、大統領はひるむことなく、その後、機会あるごとに自分のウェブサイトなどを通じ、センターの名称変更の意向についても“観測気球”を打ち上げ始めた。

 そしてついに、同年12月18日、緊急招集された理事会で、これまで全米の多くのファンに愛されてきた名称の変更が賛成多数で可決された。センター名の冒頭に堂々と自分の名前を冠し、新たな名称は「ドナルド・J・トランプ・アンド・ジョン・F・ケネディ舞台芸術センター」(英語名:The Donald J. Trump and John F. Kennedy Center for the Performing Arts)と二人の大統領の名が並ぶ長々しいものとなった。間髪入れず、翌日には建物の外壁工事を命じ、正面玄関近くの大きなネーム・プレートも付け替えられた。

トランプ大統領が自らの名を冠し「The Donald J. Trump and John F. Kennedy Center for the Performing Arts」となった歴史的な施設( Anadolu / gettyimages)

 「ジョン・F・ケネディ・センター」の呼称は言うまでもなく、第35代大統領自身が在任中につけたものではなく、暗殺後、国民的英雄視され、議会承認の下に8年後の1971年に、多くの国民の支持を得て記念文化施設として建設されたものだった。

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