サイゼリヤでチキンステーキ販売休止の衝撃!「エッグショック」ならぬ「チキンショック」到来か…高止まりする国内価格と揺れる国際市場

2026.04.15 Wedge ONLINE

 鶏肉価格の高騰が様々なメディアで報じられている。中東情勢が悪化する中、3月末にはサイゼリヤの人気メニュー、チキンステーキ(若鶏のディアボラ風、柔らかチキンのチーズ焼き)が一時販売休止となった。

(Hakase_/gettyimages)

 手ごろな価格で手に入り、栄養価も高い家庭に人気の鶏肉にも値上げの波が顕在化した形だ。消費者を不安に陥れた「エッグショック」ならぬ、「チキンショック」到来への懸念が徐々に広がりつつある。

チキンステーキ休止の要因

 サイゼリヤの販売休止は、世界的な鶏肉需要の増加と円安による輸入鶏肉の深刻な供給不足、価格高騰が主因とされる。チキンステーキ商品の原料調達先とされるタイの鶏肉需給状況を農畜産業振興機構の海外レポートでみると、2025年1~10月の鶏肉生産量は234万9464トン、前年同期比101%とわずかに増加。タイ金融大手、カシコン銀行傘下のシンクタンクであるカシコン・リサーチセンターは、昨年12月に公表した報告書で「26年も前年比0.9%増とわずかながら増加が続く」と予測した。

サイゼリヤが販売を休止した若鶏のディアボラ風(同社ホームページより)

 現地の卸売価格は「25年7月から下落傾向で推移し、同年11月も1キログラム当たり54.50バーツ(275円:1バーツ=5.05円)、前年同月比0.7%安とわずかに下落した。この要因について現地関係者は、同年7月にタイ・カンボジア国境地帯の紛争が再燃したことにより大手企業の加工施設で就労していたカンボジア人労働者が帰国したため、①国内向け加工場の解体・分割作業が簡素化され、加工度の低い大手羽が供給過剰になったこと、②副産物の処理が遅れ、加工業者の調達意欲が弱まったこと――を挙げている。一方、現地関係者は、年末需要やタイ南部での洪水発生などから鶏肉の供給過剰は緩和され、今後は価格上昇が予測されている」という。

日本国内の鶏肉卸売価格は高止まり状態

 日本の鶏肉産業は1970年代、米国の穀物輸出戦略の下、大手商社の主導で勃興し、欧米の育種企業グループが開発したハイブリッド鶏種の普及とともに拡大・成長を遂げてきた。80年代には飼料原料、原種鶏の輸入から、配合飼料の製造販売、種鶏孵卵、コマーシャルひなの飼育、食鳥処理・加工、最終製品の販売に至るピラミッド型のインテグレーション(垂直統合)を確立した。

 プラザ合意を機に急激な円高が進行すると、タイ、中国などからの開発輸入が急増。一時は年間出荷羽数が5億羽を切る最悪の事態も想定されたが、輸入食肉をめぐる不祥事や偽装事件を経て国産回帰が進み、国内生産はそれまでの6億羽台から、種鶏の生産能力向上もあって21年に7.1億羽、24年には7.3億羽まで回復し、鶏肉は手頃な価格であることや健康志向も追い風となり、いわゆる食肉3品(牛肉、豚肉、鶏肉)のうち、最も消費量が多い品目となっている。

 そんな日本国内の鶏肉卸売価格に変化が起きたのは昨年4月。取引指標となる日経加重平均相場は、モモ肉が1キログラム当たり805円(前月767円)、ムネ肉449円(同411円)に急上昇し、その後も業界関係者の誰もが予想しなかった高値推移が続き、現在もモモ肉830円台、ムネ肉490円台と高止まりの状態にある。

 国産鶏肉に対する潜在的な需要に加え、円安の進行に伴う輸入鶏肉の価格上昇が背景にあるとされる。SNSなどで、価格高騰の理由に高病原性鳥インフルエンザの影響を挙げる向きもあるが、肉用鶏での国内発生は今シーズンの場合、全23事例(約552万羽)のうち5事例(約33.7万羽)に止まり、その影響は年間7億羽を超える全国出荷羽数から見て極めて軽微といえる。