男性に多い原因不明の“群発頭痛”の恐怖…焼けるような激痛、飲酒が発作の引き金に?

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「gettyimages」より

 日本人の3人に1人が日常的に抱えているという“頭痛”。一口に頭痛といっても緊張型頭痛や片頭痛などさまざまな種類があり、その症状も多岐にわたる。なかでも「群発頭痛」は、昼夜を問わず激しい痛みに襲われて生活に支障をきたす可能性がある、恐ろしい病だ。

焼けるような激しい痛み

「群発頭痛は“自殺してしまいたくなるほどの激しい痛み”で、出産や尿管結石などの激しい痛みと並び称されるほどです」

 そう話すのは、富士通クリニックで頭痛外来を担当している五十嵐久佳医師。この群発頭痛の有病率は0.4%ほどといわれている。1000人に4人の割合なので、比較的珍しい疾患だ。しかし、患者の多くが10~50代の男性なので、他人事ではない読者も多いだろう。

「片側のこめかみに焼けるような痛み、目の奥にえぐられるような痛みを感じ、同時に痛む側の目が充血して涙や鼻水などがみられます。これらは、右側または左側のどちらか一方にだけ発生し、1~2時間ほど痛みが続きます。ひとたび発作が起きると、痛みのあまり床を転げ回ったり部屋の中を歩き回ったりと、じっとしていられません」(五十嵐氏)

 しかも、発作はほぼ毎日、ほとんど同じ時間帯に起きるという。夜中の就寝時に発作が出るケースが多いそうだが、「日中も油断できない」と五十嵐氏。

「昼間の電車内や仕事中に発作が起きる人もいます。日中に発作が起きる場合も、とてつもなく痛いので仕事どころではなくなってしまう。もちろん、夜中に発作が起きると睡眠時間が削られるので日中の業務にも支障が出る。死に至る病ではありませんが、社会人にとっては死活問題といってもいいでしょう」(同)

 群発頭痛は、発作がない「寛解期」と、ほぼ毎日発作が起きる「群発期」が交互に訪れる。期間はまちまちだが、痛みの起こる群発期は1~2カ月続くという。思い当たる人は、「頭痛外来」「神経内科」「脳神経外科」などの専門医を受診しよう。

「『激しい痛みが片側ではなく両側に起こる』、片側の痛みでも『涙が出ない』『鼻水が出ない』『痛み方が違う』などの場合は、群発頭痛ではないと考えられます。今までに経験したことのない頭痛が起こった場合は、くも膜下出血や脳出血、脳腫瘍などの命にかかわる病を発症している可能性もあります。今までと違う頭痛を経験した場合には病院を受診し、MRIなどの精密検査を受け、重篤な病が隠れていないかを確認してもらいましょう」(同)

飲酒が発作の引き金になることも

 群発頭痛患者の多くは痛みが激しいため、初めての発作ですぐに医療機関を受診するケースが多い。しかし、珍しい症例のため、最初に診療科を間違えると「群発頭痛」という診断にたどり着くまでに時間がかかることもあるそうだ。

「群発頭痛の症状は典型的なので、専門医ならすぐに診断ができますが、ほかの診療科では首をひねられるケースが少なくありません。近年はメディアやインターネットの情報を見て、自分で群発頭痛ではないかと専門医に相談する人も増えていますが、一般的な知名度はそれほど高くないのが問題ですね」(同)

 救命救急センターに駆け込んでMRIやCTなどの検査を受けても異常が見つからず、目に原因があるのかと思って眼科に行っても「異常なし」。鼻水が出るから耳鼻科、奥歯が痛いから歯科……と診療科を転々とする人もいるそうだ。

「診療科を渡り歩くうちに群発期を終えてしまい、原因不明のまま次の発作を迎えることもあります。歯科を受診して虫歯が見つかり、通院している間に群発期が終わり、『虫歯が頭痛の原因だ』と思い込んでいた患者さんもいましたね」(同)