“介護で親子共倒れ”を避ける4つのポイント…親子で“お金について話し合う”が明暗の分かれ目

 本書は、指南書やノウハウ本というよりも、こんな先行き不透明な時代の中で、親と自分が共倒れにならないよう、なんとかベストな選択肢はないかを模索する子どもたちの奮闘記だと思っている。本書を通じて、親のこれからについて不安を抱えている方にお伝えしたかったのは、誰しもみんな同じように悩んでいるという事実である。

親の介護とお金が心配な子ども世代が今からできること

 さて、それでは本書の主なターゲットである40代から50代の子ども世代が、今からできることは何か? 本書で詳しくご説明しているが、筆者がお勧めするのは、主に次の4つである。

(1)できるだけ親と会話する機会を設ける

 介護というと、食事や入浴のお世話など、「直接介護」のイメージが強いかもしれないが、介護サービスを選択するなど環境を整えたり、必要なものを揃えたりといった「間接介護」も重要な介護である。平日は仕事がある。遠方に住んでいるなど直接介護ができなくても、気に病む必要はない。そもそも、親の話をじっくり聞くことから、すでに介護が始まっているのだから。

(2)介護経験者の体験談を聞いておく

 本書では介護に必要な3つのキーとして「お金」「情報」「ネットワーク」を挙げている。すでに介護を経験している人の話を聞くというのも立派な情報収集の一つ。職場や身の回りで、親の介護をしている人の話を積極的に聞こう。ノリは、子どもが小さかった頃のママ友との情報交換だ。親の介護も、あんなふうに気軽に話題にすることができ、助け合えるのがベストだと思う。ただし、比較する必要はない。自分たちは「わが家の介護」を模索すれば良い。

(3)きょうだい間はこまめに連絡を取っておく

 親の介護やこれからの問題は、ある意味、家族の一大プロジェクトである。一人で抱え込んではいけない。そのためにも、プロジェクトに参画できる人間は多いに越したことがなく、コアメンバーとなるきょうだい間の意思疎通は、親が元気なうちから意識して密にしておくのがベストだ。もし、きょうだい間が難しければ甥・姪や、他の親類・知人等でも良い。きょうだい仲が悪い、何事も非協力的という場合は、最初から“いないもの”として考える。自分ばっかり大変で、腹立たしいかもしれないが、何事も因果応報。“そのような人は、いずれ報いを受けるハズ”くらいに思っておけば、多少は気が晴れるのではないか。

(4)お金について親子間で話し合いをしておく

 親の介護にかかるお金は親自身のお金でまかなうのが基本だが、親に預貯金がないことも考えられる。

 認知症の介護を行う家族等を対象に行った調査(※)によると、介護費用の負担者は、要介護者(本人)が全額負担は62.8%となっている一方、家族が一部を負担が22.2%、家族が全額または大半を負担が12.2%と、本人以外の家族等が負担する割合が4割近くにのぼる。

 親の判断能力が低下した場合の資産管理や相続なども含め、親がどんなこれからを望むのか話をしながら、それにかかる費用の捻出方法や管理について話し合っておきたい。

※ニッセイ基礎研究所の調査「認知症介護家族の不安と負担感に関する調査」/認知症(診断確定の段階を含む)の主たる家族介護者または家族介護者の配偶者である40~70代の男女個人を対象に2019年7月19日~23日に実施)

 本書でも、「お金があれば大抵のことは解決できる」など、経験者がお金は不可欠であることを語ってくれている。それはある意味で真実だ。しかし、筆者は、お金さえあれば最良の介護・老後を迎えられるとは考えていない。

 ただ、経済的に余裕があれば、選択肢の幅が広がることは確実だ。子どもが仕事のため直接介護を担うことができないのなら、費用を負担してアウトソーシングすることができる。