では、日本および世界でEVシフトの動きは止まるのか。
「EV普及が撤回されたのではなく、2040年くらいからの普及というのが本来の速度感だと考えられます。車の寿命を10年とすると、本格的に動き出すのが2040年頃、今から15年ぐらい先になります。EVのほうがあらゆる面で効率がよく、コストが明らかに安いんです。車載電池の値段が高いといわれますが、今から20~30年ぐらい前には液晶テレビは非常に高価でしたが、今は数万円で買えるようになっているように、時間の経過に伴い技術改革で安くなっていくものです。エンジンは精密な部品が大量に組み合わされてつくられますが、エンジン車よりはるかに部品点数は少なくて済み、かつ構造がシンプルなEVのほうが将来的に安くなるのは明らかです。電池も技術革新と量産が進んで低価格になっていくので、EVのほうが安くなれば消費者もそちらを選択するようになります。その切り替えのタイミングが2040~50年頃になるということでしょう。欧州や中国をはじめ世界がEVの流れになれば、日本もそれに乗らざるを得ませんし、日本だけエンジン車が主流というわけにはいかなくなります。
メディアを含めて、みんな焦っていますが、普及が本格化するのは15年先のことなので、メーカーはその世の中の流れにアジャストしているだけであり、そこに向けて各社、開発は続けるものの、あとはどういう速度で進めるのかという問題になります」
(文=Business Journal編集部、協力=国沢光宏/自動車評論家)