楽トスを端的に表現すれば「インサイドセールスのアウトソーシング」であると林氏は言う。インサイドセールスとは、電話やメールなど、会社の室内にいながら行う営業活動のことだ。楽トスに任せることで、不動産会社は対面での商談に専念できるようになる。
楽トスでは初期対応だけでなく、売買検討者に対して定期的に追客も行う。過去にコンタクトがあった購入検討者には普段から物件情報のメールを送信し、売却検討者に対しては相場情報をメールで送り続ける。その後、タイミングを計って電話をかけ、購入・販売の検討状況をヒアリングする。
「メールは物件情報や相場情報を自動で送るシステムを構築しています。電話に関しては、頻繁にかけてしまうと客は嫌がってしまいます。そのためタイミングを見極めることが重要です。メールには顧客専用のリンクが貼られているため、リンクを踏んだ回数・タイミングなどを元にAIで検討者の売買意欲を計測し、高まったところで我々から電話をかけます」(同)
売却検討者に送られるリンクは、検討者専用の物件査定サイトとなっている。AIをもとにその場で売却金額を予想できる。
「楽トスの導入によって不動産会社は歩留まり率が向上します。例えば、コンタクトに対してアポイント取得率が10%程度しかなかった会社が、楽トスを利用したことで30%まで向上したという事例もあります。不動産業界はそもそもアポ率が低いので、画期的といえます」(同)
全国に不動産会社(宅地建物取引業者)は約13万社以上あり、その数はコンビニより多い。現状約100社と契約する楽トスも顧客数を増やす余地は大きいが、質を維持したいため、やみくもな拡大はしないと林氏は語る。コールセンターのオペレーターを育てるのに1カ月半から2カ月程度要する。主軸とする不動産売買仲介のほか、コンシェルジュ並みの対応能力を活かして注文住宅のヒアリングや、リゾート・ヴィラなど富裕層向けの架電サービスも展開している。そして現在はシステムやメールでAIを活用しているが、オペレーターのAI化も検討しているという。
不動産業界は人手に頼る業界であり、他業界のようにDXが進まなかった。依然としてFAXで物件情報をやり取りする企業も多い。一方で、自社単体でDXを行うのはコスト的に難しく、アウトソースする必要がある。楽トスが不動産業界のDXで一翼を担うかもしれない。
(取材・文=山口伸/ライター)