国内アミューズメントポーカーの市場規模は、店舗売上・大会・関連イベントを合わせて数百億円規模に達するとみられる。参加者層の拡大、店舗の多様化、スポンサーの増加が相まって、「eスポーツに近い頭脳競技ビジネス」として成長している。大阪IR(統合型リゾート)の開業も追い風だ。
「カジノができることで、健全なギャンブルや知的競技への関心が高まると思います。
アミューズメントカジノも、より安全で透明性の高い運営が求められる時代になるでしょう」(同)
田上氏は、台湾や欧州のように「一部合法化」が進めば市場はさらに拡大すると見ている。
「法制度の整備が進めば、一過性ではなく、文化として定着するはずです」(同)
一方、現場のプレイヤーとして活躍する「さよきち」氏は、ポーカーの魅力を“読み合い”と“自己対話”の深さに見出している。

「最適解を選んでも勝てない──そこが他の競技と決定的に違う点です。不完全情報の中で最善を選び続ける、その緊張感がたまらないですね」(さよきち氏)
彼女は“勝敗を分ける要素”について、こう語る。
「『運』『経験』『読み』の3つのうち、8割は“読み”。注意深く相手の心理や流れを見極める力が最も重要だと思います」(同)
「ポーカーって、人生にも人間関係にも似ているんです。ポーカーで丁寧な人は生き方も丁寧。相手の立場を考えられる人は、ハンドでも相手の立場を想像できる。そういう気づきがたくさんあるんです」(同)
さよきち氏は、プレイヤーであると同時に、ポーカー講師・イベントディレクター・演出家としても活動する。近年はポーカー関連の仕事が増え、プレイヤーと業界の“橋渡し役”を担っている。
「ポーカーを職業として続けるのは簡単ではありませんが、経済的にも、精神的にも、やりがいのある最高の仕事だと思っています。誰かのロールモデルになれるようなプレイヤーでいたいですね」(同)
ポーカーがここまで広がった背景には、「共通の趣味を通じたつながり」がある。経営者やクリエイター、学生など、異なる立場の人々が同じテーブルを囲み、自然に交流が生まれる。
「ポーカーの魅力は“勝ち負け”だけではなく、“人と出会えること”にあります。全く違う業界の人たちが会話し、つながる。その出会いの場をつくるのが、私たちの使命です」(同)
「NEKOKAJI」では、スタッフとプレイヤーが協力しながら初心者をサポートする文化が根づいている。初心者でも安心してプレイできる環境を整えることで、“観るポーカー”から“参加するポーカー”へと裾野が広がっている。
世界ではWSOP(ワールドシリーズ・オブ・ポーカー)を筆頭に、賞金総額数百億円規模の大会が開催されている。日本でも、トーナメント文化が定着しつつあり、海外遠征で優勝する日本人も増えてきた。「日本人プレイヤーは我慢強く、トーナメントに強い。世界で結果を出せる土壌は整いつつあります」と田上氏は語る。
ポーカーは、単なる遊びでも、ギャンブルでもない。不完全な情報の中で、最善を選び続ける“知の格闘技”だ。そこには、勝負のスリルだけでなく、人生やビジネスにも通じる思考法が詰まっている。
田上氏らがつくる「学べる場」と、さよきち氏らが体現する「生き方としてのポーカー」。その両輪が、いま新しいカルチャーを形づくりつつある。
「日本のポーカー界は、これからが本番です。舵を取る人間たち次第で、この業界の未来は変わると思っています」(さよきち氏)
この言葉にあるように、ポーカーの市場は成長段階にある。今後、どのように発展していくのか注視したい。
(文=BUSINESS JOURNAL編集部)