「家族」というチームのつくり方

なぜ「仕事の話を家庭に持ち込む」ほうが家庭円満になるのか

Getty Images

仕事が忙しいときに限って家の用事を頼まれるのはなぜか

仕事をがんばっていてもパートナーから応援されない。関心さえ持たれない。それどころか、家事への貢献が少ないことに不満を言われてしまう。
家庭でそうした扱いを受け、孤独を感じているというビジネスパーソンは少なくないようです。
あなたも以下のような経験はないでしょうか。

・相手が自分の仕事の忙しさをわかってくれない
・自分が本当に忙しいときに限って、家の用事をバンバン依頼してくる
・「いま忙しい」と断ると、「私だって家事で忙しい」と10倍の熱量で返される

そのつらさ、痛いほどわかります。
自分の仕事にプライドを持ってがんばっている人ほど、仕事に無理解な相手にがっかりしてしまうものです。

では、自分の仕事に理解を示してくれない相手が悪いのかというと、そんなことはありません。
そもそも自分と同じくらいの熱量で、自分の仕事に関心を持ってもらうことを期待すること自体に無理があるのです。
では、どうしたらいいのでしょうか。

結論から言うと、家庭内で「情報共有の仕組み」を作るべきです。
ビジネスの現場で、組織を作るときにメンバー内で「情報格差をなくす」ことは、極めて重要です。
仕事に対してやる気がある人、まったくやる気を見せない人、同じ職場にいるにもかかわらず、人によってそういった意識格差が生まれてしまうのは、じつは情報格差があるからなのです。
部下に対して「意識が低い」と感じている上司は少なくないですが、上司と部下の間で、仕事に対する意識の差が起きやすい原因も情報格差なのです。

「意識の差」は「情報格差」から生まれる

人は情報を持つと、意識が上がります。美意識が高い人は、美に対しての情報を持っています。車好きの人は車の知識をたくさんもっていて、車への意識が高まっていきます。
上司のほうが部下よりも意識が高いのは、上司が会議に出たり、業界の人と接したり、ニュースに目を通していたりして、部下よりも多くの情報を持っているからです。そのため、危機感や価値基準が高まって、意識が高くなるわけです。

自分の仕事に対してのあなたの意識は、少なくとも家庭のパートナーよりは高いと言えるでしょう。自分の仕事なので、パートナーよりもたくさんの情報を持っているのは当たり前です。
では、あなたの仕事に関する情報を、パートナーはどのくらい持っているでしょうか。
いまどのくらい仕事を抱えていて、それがどのくらい重要で、なぜ自分がやるべきなのか。それをやらなかったときの周囲の反応はどうなりそうか。実現したときの価値はどのくらいのものなのか。
そういった情報をあなたは持っているでしょうが、パートナーは持てているでしょうか。
この情報格差があればあるほど、パートナーのあなたの仕事への関心度は、どんどん下がっていきます。

逆に、たとえばあなたに子どもがいて、パートナーが育児に専念している場合、子どもに関する情報に、パートナーと格差ができていないでしょうか?
子育てに関する情報格差が生まれれば生まれるほど、パートナーはあなたに対して「意識が低い」と感じるようになります。
子育ては情報格差が生まれやすいので、こうした問題に、子育てをする多くの夫婦が直面しています。

ご感想はこちら

プロフィール

高野俊一
高野俊一

組織開発コンサルタント。
1978年生まれ。日本最大規模のコンサルティング会社にて組織開発に13年関わり、300名を超えるコンサルタントの中で最優秀者に贈られる「コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を獲得。これまでに年200回、トータル2000社を超える企業の組織開発研修の企画・講師を経験。
指導してきたビジネスリーダーは累計2万人を超える。
2012年、組織開発専門のコンサルティング会社「株式会社チームD」を設立、現代表。
2020年よりYouTubeチャンネル『タカ社長のチームD大学』を開設。2023年6月現在、チャンネル登録者約3万5000人、総再生回数380万回。
2021年より、アルファポリスサイト上にてビジネス連載「上司1年目は“仕組み”を使え!」をスタート。改題・改稿を経て、このたび出版化。
著書に『その仕事、部下に任せなさい。』(アルファポリス)がある。

著書

チームづくりの教科書

高野俊一 /
成績が振るわない。メンバーが互いに無関心で、いっさい協力し合わない。仕事を...

その仕事、部下に任せなさい。

高野俊一 /
通算100万PVオーバーを記録した、アルファポリス・ビジネスのビジネスWeb連載の...
出版をご希望の方へ