レアステーキ丼の食中毒で10代女性が重症…「肉の生食」を出す飲食店がなくならない理由

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●この記事のポイント
・山口県でレアステーキ丼によるO157食中毒が発生し、10代女性が重症化。国は生食を厳格に規制しているにもかかわらず、生肉提供がなくならない背景とリスクを検証する。
・2011年の死亡事故を機に生食規制は強化されたが、基準を満たせば提供は可能。集客やブランド力向上を狙う店側の事情と、衛生管理の難しさが浮き彫りとなる。
・人気メニューとして根強い需要がある一方、違法な裏メニューや管理不十分な店も存在。生肉を食べる際に客が確認すべきポイントと自己責任の重みを問いかける。

 なぜ食中毒のリスクがあるとわかっていながら、日本人は生肉を欲してやまないのか――。

 1月、山口県周防大島町の飲食店「アロハオレンジ」でレアステーキ丼を食べた7人が食中毒の症状を訴え、3人の患者の便から腸管出血性大腸菌「O157」が検出され、10代の女性1人が溶血性尿毒症症候群を発症し重症となる事案が発生した。飲食店での生肉の提供をめぐっては過去に死亡事故も起きており、一部の種別・部位は生肉の提供が法律で禁止されており、国は基本的なスタンスとして肉の生食を推奨していない。

 それでも、なぜ飲食店はリスクを冒してまで生肉を提供するのか。また、提供する飲食店、そして食べる側の客は、どのような点に注意すべきなのか。

●目次

国は肉の生食提供を厳格に規制

 肉の生肉の危険性が国内で広く認識されるようになったきっかけは、2011年に富山の焼肉チェーン「焼肉酒家えびす」で発生した、ユッケを食べた計5名の食中毒による死亡事故だ。この事件を受け、国は牛レバーの販売を禁止するなど生食用食肉の規格基準を厳格化。

 現在、豚肉や豚レバーなどの豚の内臓も生食用として販売・提供することが法律で禁止されている一方、 馬肉、馬レバー、牛肉(牛レバー以外)は調理・加工等の一定の衛星基準を満たせば提供は許されている(鶏肉には生食用の基準はないが加熱調理が前提)。

 たとえば内臓を除く生食用の牛肉は、ブロック状の肉の表面から1センチメートル以上の深さまで60度で2分間以上加熱殺菌をして表面を切り取るという加工・調理の基準や、O157などの腸内細菌科菌群が陰性であることなどが規格として定められている。もっとも、食中毒菌を完全になくすことはできないため、国は子どもや高齢者など食中毒に対する抵抗力の弱い人は生食を控えるべきと定めており、基本的には肉の生食を推奨していない。

「店が肉の生食を提供する際には、畜場の名称やその肉の加工を行った施設の名称、所在地などを表示することが義務付けられているため、お客側としては、そのような表示がきちんとなされているのかが、その店が安全かどうかを判断する一つのポイントとなってくる」(外食チェーン関係者)

肉の生食を提供する店側の事情

 こうしたなか、国の基準を満たし保健所から許可を得たうえで肉の生食を提供する飲食店は少なくなく、なかには行列ができる人気店もある。たとえば、東京・恵比寿の焼肉店「#ヒロキヤ恵比寿」はライスの上に生肉と生卵の黄身を乗せた「#究極のユッケ丼」が人気メニューとなっている。東京・中目黒の焼肉店「Yakiniku.ushicoco.」も、黒毛和牛のユッケが食べられる店として有名。このほか、九州・中部・関東エリアに複数の店舗を展開する「極味や」は、上下の面に軽く焼き目をつけた“ほぼ生”のかたちでハンバーグを客に提供し、客が目の前の鉄板で好みの焼き加減にして食べる形態をとっている。