ドコモが提供するのは、もはや画面の中のコンテンツだけではない。今回の拡充では、映像視聴の先にある「体験価値」の提供を強化する方針が示された。
・人気アーティストの入手困難なチケットや限定ライブへの招待
・アニメイベントでのステージ登壇企画や、人気声優からの限定特典お渡し会
・プロスポーツチームの試合観戦への招待
こうした「MAXユーザーだけが応募できる特別な体験」を毎月継続的に提供することで、単なる通信契約を超えたファン化、すなわちロイヤルティ向上を狙う。担当者が「MAXは映像コンテンツもあれば、現地でのリアルな体験もある。トータルで楽しんでいただくことをコンセプトにしている」と強調するように、これは通信の「土管化」を回避し、サービス全体のLTV(顧客生涯価値)を高めるための継続投資といえる。
「ドコモMAX」は、サービス開始から約8カ月ですでに250万人以上の契約者を獲得している。プラン変更を行うユーザーのうち6割以上が本プランを選択しており、既存プランからの移行・新規契約ともに、過去のプランを上回るペースで推移しているという。
NTTドコモは2025年度内に300万回線の到達を目標として掲げているが、現在の勢いを見れば射程圏内といえるだろう。
料金プラン単体の価格競争が限界を迎える中で、「通信+エンタメ+リアル体験」を一体で提供するドコモの試みは、今後のモバイル業界の収益構造を占う試金石となる。エンタメ特典の拡充は、単なる「おまけ」の域を超え、巨大な「dポイント経済圏」へユーザーを繋ぎ止めるための強力な磁石として機能していくはずだ。
(取材・文=福永太郎)