
●この記事のポイント
アンソロピック、freee、デジライズの登壇者が「freee統合ワールド2026」で語った、AIによるバックオフィス変革の最前線。Claudeを活用した経費精算や工数按分の自動仕訳、請求書作成や財務レポート配信の自動化事例を紹介しながら、「チャットからコワークへ」というAIエージェント時代の働き方と、手入力業務が消える未来の現実性を探る。
AIがビジネスの不可欠なパートナーになったとされる2026年。AIエージェントや業務自動化ツールの普及によって、単なる文章生成を超えた実務利用が広がりつつある。だが「関心はあるものの自社で何をすればいいかわからない」という声は依然として多い。
6月16日、東京・新宿住友ビルで開催された「freee統合ワールド2026」。経営×バックオフィス×AIをテーマに据えた年に一度の祭典として今回が3回目となるこのイベントに、アンソロピックジャパン合同会社アプライドAI本部長の菅野信氏、株式会社デジライズ代表取締役の茶圓将裕氏、フリー株式会社freee-mcpエバンジェリストの青山翔平氏が集まった。60分のセッションは、テクノロジーの未来論ではなく、今日から使える実践の話として展開した。
●目次
元ノキアのエンジニアとして11年フィンランドに滞在し、その後グーグルクラウドジャパンの立ち上げを牽引。2026年3月にアンソロピックに移籍した菅野信氏は、まず業務AIの歴史を振り返るところから話を始めた。
「2023年、業務でどうAIを使おうかと思ったら、チャットのインターフェースだった。質問をして答えをもらう、それが出発点でした」
それがソフトウェア開発の世界で変容した。バイブコーディングという言葉が生まれ、命令一つでプログラムが出来上がる世界が2025年前後に現実になった。ClaudeCodeを開発したアンソロピックのエンジニア、ボリス・チャーニー氏が「自分ではもうコードを書かない。ClaudeCodeにClaudeCodeを書かせている」と語ったことは、その象徴だ。
「この動きを、今度はナレッジワーカーに持ってこようとしているのがCoworkの世界観です」と菅野氏は続けた。チャットとCoworkの違いは明快だ。チャットは「質問→答え→自分で作業→また質問」というループだが、Coworkはゴールを与えれば、AIが自律的に動いてアウトプットまで出してくれる。
具体例として挙げたのが、クライアントミーティングの準備だ。メール、チャット、議事録、CRMシステム――散在する情報を複数のシステムから自動で収集し、ブリーフィングドキュメントを生成する。人間は指示を出すだけでいい。
さらに菅野氏は、「Claude for Small Business」というプラグインを紹介した。スモールビジネスでよく使われるツールをバンドルし、よく使われるコマンドをパッケージ化したものだ。現時点では米国向けのため国内ツールとの互換性は限られるが、ソースコードはGitHubで公開されており、freeeのように国内サービスへの置き換えも可能だという。
「アイディアからアウトカムが限りなく近くなる。それが我々が今見ている世界です」