ChatGPTはグーグル検索の10倍電力消費…丸紅の米天然ガス買収が映すAIインフラの「電力不足」

バフェットが示唆する「商社株」への評価

 この文脈で改めて注目されるのが、投資家ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが、長年にわたり日本の5大商社株を買い増し続けている事実だ。バークシャーは2020年に5大商社株を5%超取得して以降、保有比率を段階的に引き上げ、2025年8月時点では各社9〜10%前後、商社・損保株の保有額は合計で約8兆円に達していると報じられている。さらに2026年3月には、東京海上ホールディングス株の2.49%(18億米ドル)を取得する資本業務提携を発表するなど、日本の事業会社への関心を広げている。

 バフェットがなぜ商社株を長期保有し続けるのか、その理由を商社株への投資を一概に「AI関連投資」と結びつけるのは早計だが、両者には共通する論理がある。すなわち、デジタル化やAI化がどれだけ進んでも、その基盤を支えるのは天然ガス、鉱物、食料といった現実の資源とインフラだという点だ。商社はその資源と需要家を結びつける事業構造を持ち、安定したキャッシュフローを生み出してきた。バフェット自身は商社の経営陣の質や株主還元姿勢を評価していると伝えられており、今回のような資源インフラへの積極投資は、こうした評価と整合的な動きと見ることができる。

 もっとも、これはあくまで一つの見方であり、商社株への投資判断がAI関連の電力需要のみに起因するわけではない点には留意が必要だ。商社のビジネスは資源価格の変動や為替リスクとも無縁ではなく、投資判断は個々の財務状況や市場環境を踏まえて行われるべきものである。

AIの「クリーンなイメージ」の裏にある現実

 生成AIという技術は、知的で洗練されたイメージで語られることが多い。しかし、その実態を支えているのは、ガス田の開発や発電所の建設といった、極めて物理的でアナログな産業基盤である。丸紅の米天然ガス会社買収は、そのことを象徴する一つの出来事といえるだろう。

 ビジネスパーソンにとっての示唆は明確だ。脱炭素やESGといった理念は引き続き重要なテーマであり続けるが、同時に、AI産業の急成長を実際に下支えしているのは天然ガスや電力インフラへの巨額投資であるという現実も、正確に理解しておく必要がある。理念と実需、その両方を見据えた視点を持つことが、これからのAI時代のビジネスを読み解く上で欠かせない姿勢になるはずだ。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=佐伯俊也/エネルギー政策研究家)