
●この記事のポイント
マイクロソフトが2026年7月、Xbox部門を含む従業員4800人を削減。GTA6の開発費は1500億円超と推定され、AAAゲームの高コスト化が限界に達している。ゲーム業界の解雇者数は2022年から3年連続増加。PalworldやHelldivers2など中規模開発の成功例とAI活用による開発効率化が、業界の次なる生存戦略として浮上している。
マイクロソフトは7月6日、全世界の従業員の約2.1%にあたる約4800人を削減すると発表した。このうちXbox部門だけで即日1600人が対象となり、2027年7月の会計年度末までには部門全体の約20%、累計3200人規模に達する見通しだという。同社のアシャ・シャルマXbox担当CEOは社内向けの発表で、Xbox事業の収益性は同業他社やパブリッシャーと比べて著しく低く、投資した1ドルにつき64セントの損失を出す年もあると明かした。今回の再編では、Compulsion GamesとDouble Fine Productionsが再び独立系スタジオとなり、Ninja TheoryやUndead Labsも新たな出資先のもとで運営される見込みだ。
だが、これは一企業の業績不振として片付けられる話ではない。ソニー・インタラクティブエンタテインメントは2024年2月にPlayStation Studiosを含む世界中の従業員約900人を削減し、Electronic Artsも同時期に全従業員の約5%、およそ670人を対象とした人員整理を発表している。
有志データベース「Game Industry Layoffs」の集計によれば、ゲーム業界全体の解雇者数は2022年の約8500人から2023年に約1万500人、2024年には約1万4600人へと3年連続で増加した。2025年も同様の傾向が続いたと報告されている。マイクロソフト、ソニー、EA、そしてUnityやRiot Gamesといった世界的企業を巻き込むこの流れは、もはや「大粛清」と呼ぶべき構造変化の只中にある。
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要因の一つは、パンデミック特需の反動だ。2020年から22年にかけての巣ごもり需要期、各社は積極的なM&Aと大量採用に踏み切った。しかし需要が正常水準へ戻った今、その拡大した固定費が経営を圧迫している。
もう一つの要因は、開発費と開発期間の異常なインフレーションである。グラフィックの高度化に伴い、AAAタイトルの開発費は200億〜500億円が「標準」となりつつあり、大型シリーズでは1000億円を超える例も珍しくない。象徴的なのが『グランド・セフト・オートVI』だ。
Take-Two Interactiveのストラウス・ゼルニック会長兼 CEOは、開発予算について明確な数字は示さないまでも高額であることを認めており、業界アナリストの推計では総開発費が10億〜20億ドル(約1500億〜3000億円)に達するとされる。開発チームはロックスターの世界10スタジオにまたがり、前作『GTA5』や『レッド・デッド・リデンプション2』の1600〜2000人規模から、約6000人規模へと膨張したとも報じられている。「1本でも打席を外せばスタジオごと消える」というハイリスク構造は、もはや映画産業以上の危うさを抱えている。
相次ぐレイオフは、ベテラン開発者のキャリア観にも影響を及ぼしている。米国のゲーム業界の失業率は、全体の失業率が約4%であるのに対し9%前後との指摘もあり、開発者コミュニティの調査データを分析するアミール・サットワット氏は、2026年も業界全体で数千人規模のレイオフが続く可能性があるとしつつ、地域間の人件費格差やAI技術の浸透といった長期的要因の方が、単年のレイオフ数以上に構造的な課題になり得ると指摘している。