Claudeを解約する米国企業が続出…中国製AIへ乗り換え、米議会も問題視

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●この記事のポイント
米AIエージェント企業Lindyがコスト高騰を理由にClaudeから中国DeepSeekへ全面移行、コインベースもGLM-5.2導入でAI支出を半減。米下院はCursor・Airbnbの中国製AI利用を国家安全保障リスクとして調査開始。日本企業が知らない米中AI攻防の実態と、サプライチェーンに潜むリスクを解説する。

 日本のビジネス現場では今、「ChatGPTでメール文面を整える」「Claudeで議事録を要約する」といった業務効率化の話題が主流だ。しかし同じ時期、太平洋の向こう側では様相がまったく異なる展開が進んでいる。AIコストの高騰を背景に、米国企業の一部が、OpenAIやアンソロピックから中国製AIモデルへと軸足を移し始めているのだ。この動きは米議会が国家安全保障上の調査に乗り出すほどの事態に発展している。本稿では、その実態と、日本企業が見落としがちなリスクを整理する。

●目次

米国のAIエージェント企業が「Claudeを全面撤退」

 象徴的な事例が、AIエージェント開発企業Lindyだ。CEOのフロー・クリヴェロ氏は2026年6月、同社のトラフィックの100%をアンソロピックのClaudeから、中国DeepSeekの「V4」へ切り替えたことを明らかにした。従業員約25人の同社ではAIの利用コストが人件費を上回る状態が続いており、移行によって数百万ドル規模のコスト削減を見込むという。米CNBCの取材に対し同氏は、コスト曲線が「崩れ落ちるように下がった」と述べている。

 Lindyだけではない。仮想通貨取引所大手コインベースのブライアン・アームストロングCEOは6月末、1200以上に上る社内AIエージェントの標準モデルを、中国Zhipu AIの「GLM-5.2」とMoonshot AIの「Kimi K2.7 Code」に切り替えたことで、AI関連支出をほぼ半減させたと明らかにした。配車大手ウーバーも2026年のAI予算を4月時点で使い切り、エンジニア1人あたり月1500ドルの利用上限を設けるなど、コスト圧縮に動いている。

 背景にあるのは価格差の大きさだ。AI評価機関Artificial Analysisのベンチマークによれば、同一のテスト群を実行した際のコストは、アンソロピックのClaudeが約4811ドルなのに対し、DeepSeekは約1071ドル、Moonshot Kimiは約948ドル、Zhipu GLMはわずか約544ドルにとどまる。API仲介プラットフォームのOpenRouterのデータでは、米国企業が中国製AIモデルに振り分けるトークン量の比率は、2025年前半には4.5%程度だったが、2026年2月以降は毎週30%を超え、最大46%に達する週もあった。

米議会が「国家安全保障リスク」として調査開始

 こうした動きに、米連邦議会が警戒を強めている。下院国土安全保障委員会と下院中国特別委員会は2026年4月、コーディング支援ツール大手Cursorを運営するAnysphere社と、民泊仲介大手Airbnbに対し、中国製AIモデルの利用実態について説明を求める書簡を送付し、共同調査を開始したと発表した。

 調査の焦点の一つがCursorの独自モデル「Composer 2」だ。同モデルはMoonshot AIの「Kimi」をベースに構築されていたことが判明している。下院国土安全保障委員会のアンドリュー・ガルバリーノ委員長は、中国発のオープンウェイトモデルが「特定の脆弱性発見・サイバーセキュリティ業務において米国の主要モデルに匹敵する」との報告を「極めて憂慮すべき」だと述べている。