GM・フォード「半導体囲い込み」の衝撃…自動車も“AIインフレ”で連鎖値上げへ

「マイカー所有」のハードルは上がるか

 自動車の値上げは、購入方法にも波及する。近年、月々の負担を抑える手段として普及してきた残価設定ローン(残クレ)は、車両価格の上昇や利用者増を背景に、金利負担を含めた総支払額への注目が高まっている。車両本体価格が上昇すれば、残価設定ローンや通常のマイカーローンにおける利息負担も比例して増える可能性があり、家計への影響は毎月の支払額だけでは測れない広がりを持つ。

 こうした状況を踏まえると、読者が今取りうる現実的な選択肢は大きく二つに整理できる。一つは、現在の車を大切に維持し、車検を通しながら乗り続けることでコスト増の波を回避する方法。もう一つは、価格上昇や納期長期化がさらに進む前に、必要な買い替えを前倒しで検討する方法だ。どちらが望ましいかは、使用年数や走行距離、資金計画によって異なり、一律の正解があるわけではない。重要なのは、「新車価格は今後も一定のペースで安定的に推移する」という従来の前提が崩れつつあるという事実を踏まえたうえで、判断材料をアップデートしておくことだろう。

自動車業界のルール変更はすでに始まっている

 GM・フォードによる長期供給契約と、それに先立つメモリー価格の構造的な上昇は、自動車が「動くコンピューター」へと変貌する中で、AI産業と部品調達をめぐる競合関係に入ったことを象徴する出来事だ。日本メーカーへの影響が具体的にどの程度の値上げや納期にあらわれるかは、今後の契約交渉や為替、各社の企業努力次第であり、現時点で断定はできない。しかし、半導体を安定的かつ安価に調達できるという従来の前提が世界的に揺らぎつつあることは、複数の一次情報から確認できる客観的な事実である。自動車の買い替えや保有を検討する読者にとって、この構造変化を理解しておくことは、今後の判断において小さくない意味を持つはずだ。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=荻野博文/自動車アナリスト)