JAL純利益53億円・80%減の内幕…ANAとの明暗を分けた「非航空事業」の底力

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●この記事のポイント
JALの2026年4〜6月期決算は純利益80.2%減の53億円、ANAHDは15.4%減の194億円と明暗が分かれた。燃油高騰・円安で501億円の減益要因が生じる中、JALはマイル/金融事業のEBIT120億円が航空事業の実質赤字を穴埋め。両社の公式決算資料をもとに、増収でも利益が伸びない構造要因を分析する。

 日本航空(JAL)とANAホールディングス(ANAHD)が発表した2026年4〜6月期(2027年3月期第1四半期)決算は、日本の航空2社の「体力差」を浮き彫りにする結果となった。

 JALの売上収益は前年同期比11.2%増の5237億円と、4〜6月期として過去最高を更新した。ANAHDの売上高も同22.6%増の6727億円と、第1四半期として過去最高を記録している。両社とも訪日外国人(インバウンド)需要や国際線の旺盛な需要を追い風に、収入面では好調を維持した。

 ところが最終利益に目を転じると様相は一変する。JALの純利益は前年同期比80.2%減の53億円にとどまった一方、ANAHDの純利益は同15.4%減の194億円で着地した。両社とも減益は避けられなかったものの、その下落幅には歴然とした差がついている。売上高が過去最高でも利益は大きく目減りする——この一見矛盾した現象の背景には、航空業界特有のコスト構造と、両社の事業ポートフォリオの違いが横たわっている。

●目次

なぜJALは急落したのか

 JALが公表した decomposition(増減益要因分析)によると、今回の減益の最大要因は燃油・為替市況の悪化で、これだけで501億円の減益要因になったと説明している。燃油費は前年同期比で約58%増加した。中東情勢の緊迫化を受けて航空燃料(シンガポール・ケロシン)価格が一時、直近の安値から2倍超に跳ね上がったことが直接の要因だ。燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)の引き上げで価格転嫁を図ったものの、コスト増を吸収しきれなかった。

 この結果、JALの事業利益にあたるEBIT(利払い・法人所得税前利益)は前年同期比72.1%減の127億円まで落ち込み、EBITマージンは7.2ポイント低下し2.4%となった。なお、市場予想平均(QUICKコンセンサス)は22億円の最終赤字であったため、実際の53億円の黒字はこれを上回る結果ではあった。

 注目すべきは、JALの主力であるフルサービスキャリア(FSC)事業のEBITが8億円の赤字に転落し、LCC(ジップエアなど)も1億円の赤字だった点だ。つまり今四半期、JALの航空事業そのものは実質的に利益を生み出せていない。

「非航空」が本業の赤字を埋めた

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 ここで際立つのが、JALが長年育ててきた非航空領域「マイル/金融・コマース事業」の存在感だ。同事業の売上収益は前年比13.3%増の563億円、EBITは同17.6%増の120億円を確保した。JALカードの決済額増加や、グローバル提携によるマイル発行機会の拡大が寄与している。

 単純計算すると、会社全体のEBIT127億円のうち、実に9割以上をこのマイル/金融・コマース事業が生み出したことになる。航空事業が燃油高で苦しむ中、非航空事業がなければ全社のEBITはマイナス圏に沈んでいた可能性が高い。

 2026年3月期通期の実績で見ても、マイル/金融・コマース事業と受託事業(グランドハンドリングなど)を合わせた非航空系セグメントのEBITは、全社EBIT(2180億円)の約3割を占めており、JALが掲げる「2030年度に航空事業と非航空事業の利益構成比を半々に近づける」という中期目標に向けて、非航空事業は着実に規模を拡大している。ただし現時点では、燃油高という本業側の急激なコスト変動を完全に吸収できるほどの規模には至っていない、というのが実態だろう。