東京でロボタクシー本格始動へ…ウーバー・日産vsウェイモ・トヨタの主導権争い

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●この記事のポイント
2026年後半、東京でウーバー・日産・ウェイヴ・日の丸交通が自動運転タクシーの試験運行を始める。日産リーフにウェイヴのAI Driverを搭載し、日の丸交通が運行管理を担う体制だ。同時期に都心7区で展開するウェイモ・日本交通・GO陣営との「四つ巴」構図が、モビリティ産業の主導権争いを日本で本格化させる。

 米ウーバー・テクノロジーズとタクシー大手・日の丸交通(東京都文京区)は8月、日産自動車と英新興企業ウェイヴ・テクノロジーズが開発する自動運転タクシーについて、2026年後半に東京都内で試験運行を始めると正式発表した。今年3月に日産・ウェイヴ・ウーバーの3社が結んだ協業の覚書を土台に、実際の運行を担う主体として日の丸交通が加わり、体制がようやく固まった形だ。

 一方、東京の路上ではすでに2025年4月から、米ウェイモ・業界最大手の日本交通・配車アプリ大手GOの陣営が、都心7区でジャガー製の自動運転車両約25台を走らせている。ウェイモは2025年4月末にトヨタ自動車と、自動運転の新たな車両プラットフォーム開発を含む戦略的パートナーシップに合意しており、両社の協業は当面は個人所有車向け技術など米国市場が中心とみられるものの、将来的にトヨタの製造力・資本力がウェイモ陣営に加わる可能性も取り沙汰されている。

 つまり東京は今、「ウーバー・日産・ウェイヴ・日の丸交通」対「ウェイモ・日本交通・GO、そして将来的にはトヨタ」という、世界的に見ても異例の直接対決の舞台になりつつある。これは単なる自動運転技術の実証実験ではない。モビリティ産業の主導権を巡る争いが、日本という「世界で最も複雑な道路環境」の一つを舞台に、本格的に始まったサインだと捉えるべきだろう。

●目次

なぜ日産は自前主義を捨てたのか

 日産は長年、自動運転技術の自社開発にこだわってきたメーカーの一つだ。しかし今回の枠組みでは、車両の製造に専念する一方、自動運転の「頭脳」にあたるAIシステムは、英国の新興企業ウェイヴの「AI Driver」を採用した。ウェイヴの技術は、高精度地図(HDマップ)への依存を最小限にとどめ、カメラ映像を中心とした実世界の走行データからAIが学習し、未知の環境にも適応していく「エンドツーエンド型」の自動運転方式が特徴だ。新型「日産リーフ」をベースに、米エヌビディアの自動運転向けプラットフォーム「DRIVE Hyperion」を組み合わせた試作車は、2026年3月に公開されている。

 体制としては「車両(日産)×AI(ウェイヴ)×配車(ウーバー)×運行(日の丸交通)」という分業構造になっており、各社が得意領域に特化することで、開発コストと時間を分散させる狙いがうかがえる。自社単独では自動運転AIの開発競争で後れを取りかねないという判断を、外部連携によって一気に挽回しようとする戦略ともいえる。ウーバーにとっても今回は同社にとって初の自動運転タクシー事業であり、ロンドンを含む世界10都市以上への展開構想の中に、東京が組み込まれている格好だ。

 対するウェイモは、自社開発のセンサースイート(カメラ6台、レーダー、LiDARなど)を搭載したジャガー製EVを用い、米国主要都市で蓄積してきた走行データと安全性の実績をそのまま東京に持ち込む「垂直統合型」のアプローチを取る。ウェイモが公表する米国での実績によれば、人間ドライバーと比較して衝突回避性能が92%、物損事故が82%それぞれ改善したとされる。トヨタとの提携も加われば、自社技術に製造パートナーの生産力が乗る形になり、ウェイモ陣営の総合力はさらに増す可能性がある。