ファーウェイ、増収なのに減益37%の真意…2.9兆円R&Dが映す半導体自立戦略

ファーウェイの「出血戦略」が示すこと

 日本企業が得意としてきた「毎期の黒字確保」や「R&D費の圧縮によるコスト管理」は、短期的な財務健全性の観点では合理的だが、プラットフォームや先端技術の主導権を争う局面では必ずしも有効とは限らない。ファーウェイの事例が示すのは、非上場・従業員持株制という特殊な構造があってこそ可能な「総力戦」であり、上場企業がそのまま模倣できるものではない。

 とはいえ、そこから得られる示唆はある。一社単独でファーウェイ規模のR&D投資を継続することが難しい日本企業にとっては、特定分野でのアライアンス(連合)形成や、代替の効きにくいニッチ領域への集中投資が現実的な対抗策となりうる。個々の企業が技術を抱え込んで単独で防衛する発想には限界があり、業界横断での協調によって研究開発コストを分散させる発想への転換が、今後の論点になっていくとみられる。

 ファーウェイの純利益37%減という数字は、経営体力の弱体化を示すサインではなく、むしろ中長期的な技術覇権を見据えた「力業による追い上げ」の途上にあると捉えるのが妥当だろう。日本企業には、目先の特需に安住するのではなく、中国の内製化が完了した後の「ポスト・ファーウェイ市場」で自社がどのような強みを発揮できるかを、いまのうちから見極めておくことが求められている。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=岩井裕介/半導体アナリスト・経済コンサルタント)