セブンとニコアンドが組んだ本当の理由…客層高齢化とファミマ追随の裏側

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セブン-イレブン公式リリースより

●この記事のポイント
2026年9月25日、セブン-イレブンがアンドエスティHDと組み、「ニコアンド」「ローリーズファーム」の限定アパレル23アイテムを全国約2万2000店で発売。来店客の50歳以上が4割超という客層高齢化への対策で、ファミマ「コンビニエンスウェア」への追随や、イトーヨーカドーのアパレル撤退が背景にある。

 セブン-イレブン・ジャパンは9月25日、アパレル大手アンドエスティホールディングス(HD)と共同開発した「niko and…(ニコアンド)」「LOWRYS FARM(ローリーズファーム)」の限定ファッション雑貨、全23アイテムを全国約2万2000店舗で順次発売した。靴下やTシャツ、スウェット、エコバッグ、ヘアアクセサリーなどをそろえ、価格帯は660円から5390円(税込)。10月23日からはサンリオの「ハローキティ」とのコラボ商品も投入する。両社は衣料品売上高を2025年度比で2倍に拡大する目標を掲げている。

 一見すると「話題づくりのおしゃれ施策」に映るこのニュースだが、その裏には、コンビニ最大手が抱える顧客構造の危機感と、アパレル側が直面するEC・リアル店舗双方の限界という、双方の切実な損益計算が交錯している。実は、コンビニ衣料をめぐってはファミリーマートが「コンビニエンスウェア」で先行し、ローソンも無印良品との協業で存在感を示してきた。後発となるセブンが、なぜこのタイミングで、しかも「自前ブランド」ではなく外部アパレル大手との協業という手法を選んだのか。その理由を、セブン側とアンドエスティ側、双方の視点からひもといていく。

●目次

客層高齢化という構造的な課題

 セブン-イレブンは今回の協業について「店舗への来店価値を高めたい。特にファッションでは20~40代の女性のお客さまを呼び込むことを期待している」と説明する。その背景にあるのが、来店客の高齢化という構造的な課題だ。同社自身、利用者の高齢化が進み「50歳以上が40%超」を占める状況にあることを明らかにしている。

 ニッセイ基礎研究所のレポートによれば、セブン-イレブンの来店客のうち20代以下が占める割合は1989年の60%から2017年には20%まで低下する一方、50歳以上は10%から40%へと拡大した。同研究所は「コンビニは人口以上に高齢化が進んでいる」と指摘しており、実際の人口動態を上回るペースで客層のシニア化が進行してきたことがうかがえる。

 コンビニの衣料品といえば、従来は突然の雨や急な宿泊といった「緊急需要」への対応が中心だった。しかし、20~30代女性からの支持が厚いニコアンドやローリーズファームを店頭に置くことで、「わざわざその服や小物を目的にセブンに立ち寄る」という目的買いの動機づくりを狙っている。

 流通コンサルタントの永田由紀氏は「コンビニの出店余地はすでに飽和に近く、商圏人口も今後大きく増えることは見込みにくい状況です。客数そのものを底上げできないなら、一人当たりの来店頻度と買い上げ点数をどう引き上げるかが勝負になります。そのための”寄り道の理由”としてファッションは有力な選択肢」と分析する。

ファミマの先行と「自前主義」を捨てた合理性

 コンビニ衣料品をめぐっては、ファミリーマートが一歩先を行っていた。同社は2019年、デザイナーの落合宏理氏(FACETASM)に声をかけ、「コンビニエンスウェア」として自社オリジナルブランドの開発に着手。落合氏自らが全国約60店舗を訪ねて加盟店と意見交換を重ねたというエピソードも知られ、現在は全国約1万6600店舗規模で展開するまでに定着させた。「コンビニ史上初」とうたう1枚で着られるTシャツや、SNSで話題になったラインソックスなど、着実にヒット商品を生み出してきた実績がある。ローソンも無印良品とのコラボレーションで衣料品を扱うなど、大手各社がすでに手を打っている中、セブンは相対的に出遅れていた。