(3)ポートフォリオ経営を続けていくこと
2025年のMGC譲渡、TH FOODSでのナッツ事業からの撤退(撤退コスト約300万ドル)、そして今回のインド。亀田製菓は、成果が見込めない事業から順番に手を引き、そのぶん伸びている事業に資源を寄せてきた。一度きりの大胆な判断ではなく、見直しを定期的に続けていることにこそ、この会社の特徴がある。
「人口14億人」という数字は、新興国への進出を後押しする材料になりやすい。ただ、人口の大きさがそのまま自社の売り上げになるわけではない。所得の分布や価格帯、流通の構造、パートナーとの権限の分け方まで踏み込んで見なければ、勝てる市場かどうかは判断できない。
今回の撤退は、インド市場そのものを否定するものではない。成長余地がある市場だからこそ、勝ち筋が見えない段階で深追いしなかったとも言える。重要なのは、進出する時点で「いつまでに、どの指標がどうなっていなければ撤退を検討するか」という基準を決めておくことだろう。
もっとも、この判断が正しかったかどうかは、北米での売上高745億円という目標にどこまで近づけるかで評価されることになる。撤退はゴールではなく、次の投資の出発点である。亀田製菓のインド撤退は、「攻めのための撤退」がどういうものかを具体的に示した事例として、多くの日本企業にとって参考になるはずだ。
(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=高野輝/戦略コンサルタント)
【主な参照データ・出典】
亀田製菓 適時開示(2026年9月16日)/LT Foods 開示(2026年9月)
日本経済新聞、日本食糧新聞、LOGISTICS TODAY、Just Food 各報道
亀田製菓「北米構造改革を推進 北米事業規模10倍へ」(2025年5月26日)
亀田製菓 2026年3月期決算説明(ログミーファイナンス)、食品新聞(2026年9月6日)
Bikaji Foods International 目論見書添付 業界レポート(2022年2月)