逆に、出口を持たないまま「賃貸より月々が安いから」という理由でフルローンに近い形で使うのは筋が悪い。月額の軽さは、将来の元金返済を先送りした結果にすぎないからだ。
「相談の場では、まず“期日に売れなかったら、どこから5000万円を持ってくるか”を紙に書いてもらいます。それが書けない方には勧めません。逆に、書ける方にとっては選択肢の一つになります」(同)
住宅価格の高止まりが続く限り、同種の商品を検討する金融機関が出てくる可能性はある。ただ、担保評価額や地域を限定した設計を見る限り、住宅ローンの主流になるというより、高所得層向けの専門商品として定着していく公算が大きい。
比較の対象として押さえておきたいのが、国主導で普及が図られている「残価設定型住宅ローン」だ。一定期間後、一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)がその時点のローン残高と同額で住宅を買い取るオプションが付く。ただし対象は長期優良住宅の認定を受けた戸建てに限られ、マンションは含まれない。同じ「元金の一部を後ろに回す」ローンでも、価格下落リスクを誰が負うかという点で両者は正反対の設計になっている。
注視すべきは金利の行方だ。利上げが続き、延滞や担保割れが目立つようになれば、金融当局が審査やLTV管理の実態に目を向けることも考えられる。
2階建てローンは、住まいを資産としてポートフォリオの中で管理できる人にとっては有効な道具になる。一方で、出口の設計を欠いたまま使えば、将来の家計に大きな負担を残す。月々いくら払えるかではなく、最後にいくら残り、それをどう返すのか。住宅ローン選びの物差しそのものが変わりつつある。
(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=田中真一/ファイナンシャルプランナー)
【主な参照データ・出典】
ドコモSMTBネット銀行 プレスリリース(2026/6/1)
マンションプラス:期日一括返済併用型住宅ローンとは
住宅産業新聞
リクルート「はじめての住宅ローン」
不動産経済研究所 首都圏マンション市場動向 2026年上半期
nippon.com(不動産経済研究所 2025年データ)
東京カンテイ 新築マンション年収倍率(2025/12/8)
日経:日銀1.25%への利上げ決定
モゲチェック:日銀追加利上げと変動金利(2026/9/18)
日本銀行 金融システムレポート 2026年4月号
DXマガジン:住信SBIネット銀行の社名変更
三九アセット:残価設定型住宅ローン