年利5%・保証付・10万円から…日本初「ステーブルコイン社債」は本当に安心か?

 利率の根拠について、渡辺氏はこう語った。

「既存の社債は4.999何パーセントが多くて、そこが一番最大なので、その上の5パーセントということでやらせていただいています。個人投資家向けの自己募集型デジタル社債としては、過去最高水準なのかなと考えています」

 その5%を、発表の締めくくりでこう言い表した。

「5パーセント保証付、10万円から、といったところになります」

 年5%は契約上の利率で、親会社保証も付く。だが「保証付」は無リスクを意味しない。約束されていることと、確実に履行されることは別であり、保証人自身の信用力という問題が残る。

便利・低コスト・高利回りの先に見るべきもの

 さて、ステーブルコインで社債の利払いを自動化し、送金コストを下げる。その試み自体には十分な意味がある。だが、新しい金融商品であることと、安全な金融商品であることは同義ではない。

「便利」「低コスト」「高利回り」の向こう側で、発行体の信用力はどうなのか、保証は誰がどこまで履行するのか、中途で現金化できるのか、決済インフラのどこに依存しているのか。技術の新しさを評価するからこそ、その部分は分けて見る必要がある。今回の発表会では、将来の可能性は十分に語られた。一方で、投資家が判断するためのリスクについては、なお説明すべき余地が残っている。

 今回の発表を聞いていて感じたのは、この社債が「商品」であると同時に「実証実験」でもあるということだ。発行側は新しい金融インフラの可能性を語る。しかし、その実験に参加するのは、研究開発費を出す企業ではなく、実際に10万円を投じる個人投資家である。だからこそ、技術の可能性以上に、信用・流動性・保証の限界を丁寧に説明する必要がある。 

「日本初」という看板の価値を決めるのは、技術の新しさではない。10万円を預ける側が、リスクまで含めて理解できるかどうかだ。

(取材・文=昼間たかし)