売上1割増でも純利益2割減のココイチ、客増でも減益の鳥貴族…「加算型の価格」とコスト高の関係

●日本マクドナルドHD(26年12月期中間、26年1〜6月)
①2041億円(+0.4%)
②302億円(+15.2%)
③197億円(+17.0%)
④14.8%
⑤既存店売上高+5.9%

●サイゼリヤ(26年8月期)
①3015億円(+17.4%)
②164億円(+5.9%)
③110億円(△1.1%)
④5.4%
⑤+9.2%/+1.5%(国内8月)

出所:各社決算短信・決算説明資料・月次情報。営業利益率は公表値から編集部計算。

 意外に思えるかもしれないが、営業利益率で見ると壱番屋、鳥貴族、サイゼリヤの3社は5%台でほぼ横並びだ。頭ひとつ抜けているのはマクドナルドだけである。「勝ち組・負け組」という分け方は、この時点で少し危うくなる。

「値上げの質」:同じ単価アップでも中身が違う

ココイチ:単価を押し上げたのは「限定」

 壱番屋の客単価2.5%増について、会社はコラボ企画による押し上げと、比較的単価の高い期間限定メニューの効果を挙げている。送り出した施策が単価を支えた形だ。

 気になるのは客数の動きだ。第1四半期(3〜5月)は0.5%増だったが、第2四半期(6〜8月)は0.5%減に転じた。国内既存店売上高も会社の計画値(中間期2.9%増)に対して実績は2.4%増で、第2四半期だけなら0.9ポイント下回った。

 トッピングを重ねる加算型の価格は、好きなように組める楽しさがある。その代わり、注文のたびに「いくらになるか」を足し算してしまう。

「加算型は物価が落ち着いているときには強い仕組みです。ただ値上げが続くと、客はトッピングを1品減らすといった形で自分で予算を調整します。そうすると、客単価は数字ほど伸びず、来店頻度のほうに影響が出やすい。客数と単価を分けて追う必要があります」(外食産業コンサルタント・杉田誠氏)

鳥貴族:客は来たが減益

 鳥貴族は2025年5月に価格改定したが、会社は「ご利用状況への大きな影響は見られず」と説明している。全品均一価格だと、客は頭の中で会計を計算しやすい。値上げ幅も「1品あたりいくら」で一度に納得できる。客数3.8%増という数字は、その強さを示している。

 ただし、利益は減った。会社は原材料、エネルギー、人件費に加え、店舗の内装・建築費の上昇を収益の下押し要因に挙げる。年間で純増34店と出店を続けるなかで、新店をつくるコストそのものが重くなっている。客が納得する価格設計ができても、それだけでは利益は守れない。この点は押さえておきたい。

マクドナルド:単価を上げつつ、「手頃感」も残す

 日本マクドナルドは2026年2月にも価格改定を実施した。その一方で「トクニナルド」キャンペーンを展開し、「お手頃感のあるメニュー」を続ける方針を示している。月次では、2026年1〜9月の既存店客単価は毎月プラス(+1.1〜+6.5%)だった。既存店客数が前年を割り込んだのは3月と6月だけだ。

コ スト面も見ておく。中間期の直営店では、材料費率が0.9ポイント上がっている。それを労務費率の1.1ポイント低下で相殺した。単価を上げる導線と、安く済ませる導線を両方残している。そこへ店舗運営の効率化を重ねた結果が、営業利益率の差になって表れている。

サイゼリヤの「値上げしない」を支えているもの

 サイゼリヤは決算短信で、原材料やエネルギーのコストが上昇するなかでも「メニュー価格維持」を方針としてきたと説明している。他社が値上げを重ねるほど、据え置きの割安感は目立つ。国内既存店の客数は8月が前年同月比9.2%増、9月も同8.6%増だった。

 ただ、この戦略は「コストが増えない」から成り立っているわけではない。決算説明資料によると、国内の原価要因は前期比で44.7億円の利益押し下げだった。内訳は為替31.7億円、ハンバーグやチキンなどの仕入単価18.7億円、物流費6.2億円。単体の売上原価率は48.3%と、2.4ポイント悪化している。