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恋文を作るはずのアプリが、私の声を奪っていく。
駅前でひよりが拾ったのは、黒くて不気味なくらい綺麗な端末だった。中には恋文生成アプリ「LovePost」。相手と目的を入れるだけで、誰も傷つけない“正しい言葉”が出てくる。試しに使うと、気まずい返事も、断りたい誘いも、驚くほど円く収まった。救われたはずなのに、教室の空気は少しずつ薄くなる。整いすぎた文章はスクショで回り、「機械みたい」と噂になり、ひよりの“文っぽさ”だけが一人歩きする。助けるための言葉が、疑いと距離を増やしていく――使うほど楽になる自分が、いちばん怖かった。
文字数 245,553
最終更新日 2026.03.06
登録日 2026.02.14
高校2年・相沢恒一は、失敗を取り返したくて制服の“第2ボタン”を引きちぎる。
次の瞬間、世界は朝7:15に巻き戻った。
やり直せる。…はずだった。
恒一が知ったのは、残酷なルール。
「やり直したい」と強く願った相手ほど、恒一の存在を忘れていく。
名前も、会話も、積み上げた時間も、毎朝ゼロに戻る。
残るのは、理由のない胸の痛み――“残響”だけ。
縫製が得意な同級生・結城紬は、ボタンの縫い目の“異変”から真相に近づいていく。
幼なじみのほのかは、何も聞かずに隣にいてくれる。
文化祭が近づくほど、体育館の吊り物は不穏に軋み、恒一の指は無意識にボタンを探す。
守りたい。忘れられたくない。
でも、その願いが誰かを消す。
ほどけた縁は、戻っても縫い直せない。
それでも、君の名前を――もう一度。
文字数 101,994
最終更新日 2026.03.02
登録日 2026.02.21
几帳面で“減点されない”ことだけを武器に生きてきたカスタマーサクセスの綾瀬真琴。
ある夜、差出人のない白い封筒がポストに届く。中身はA4一枚の帳票──「失敗報告書」。そこには“明日”起きる失敗が時刻つきで印字されていた。
真琴は徹底した準備で失敗を回避し、評価を上げていく。けれど回避が積み重なるほど、彼女の中で育つのは挑戦や判断ではなく、「やらない」「言わない」「隠す」という安全の癖だった。
文字数 93,134
最終更新日 2026.03.01
登録日 2026.02.25
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