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第四章 女王

99.衝撃の事実と悪戯

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「坊っちゃまは幼い頃より、強い魔力を発揮するようになっていましたので、それだけ妬まれる事も多かったのです」


 食事に毒を盛られる事は日常茶飯事だったとエフィージオ様は仰られました。



「先代の王は勘の鋭い男でしたので、坊っちゃまが生まれた時には見込みを見出し、爺を付けました。それも妬みの原因になったのかもしれません。王自ら教育係を選定するという事は、王太子候補だと認めたようなものですから、早々に消したかったのでしょうな」



 わたくしは、とても驚いて、震えが止まりませんでした。
 マッティア様が、そんな幼少期を過ごされていたなんて……。



「そんな……」
「まだ王太子にもなっていない頃の話です。王の子を生むというのは名誉ではありますが、イザベラ様は順序を踏まずに王の子を身篭ってしまわれた為、ご生家から疎まれ、後宮に入られたので、後ろ盾もなく、味方などいないに等しかったのです」



 イザベラ様と爺くらいが、坊っちゃまが信頼出来る者だったと仰られた時、わたくしは思わず涙が頬をつたいました。


 お義母さまもマッティア様も、この王宮でとても辛い思いで過ごされていたのですね……。わたくしなんて、お父様やお母様に守られて、何も考えずに不安に思う事もなく、幼少期を過ごしておりました。


 己がどれ程、幸せだったのかを思うと……とても悲しくなりました。



「そんな頃、仲良くしていた侍女の子息が、坊っちゃまに出されたお菓子を誤って食べてしまったのです」
「まさか……」


 予想出来てしまう恐ろしい結末に、わたくしは息をのみました。エフィージオ様は、そんなわたくしを見て、頷きました。


 嫌な汗が出てくる気が致します……。



「ええ、即死でした。坊っちゃまの場合は爺が、毒に慣らしている為、数日寝込む事はあっても死に至る事はありませんが……。毒に耐性のない子供では、あっという間です」



 わたくしは何も言えずに、ただ立ち尽くす事しか出来ませんでした。何と言って良いのかも分からなかったのです。


 そのように、いとも容易く命を奪ってしまう毒を幼い子供に日常的に盛るだなんて……、そんな恐ろしい事を平然と行える方が、この王宮内にいたという現実が……、わたくしにはとても受け入れ難いものでした。



「それからです。坊っちゃまが食事をしなくなったのは。必要な栄養素のみを補給出来れば良いと考え、食事が用意されても見向きすらしなくなりました」
「そんな……。それなのに……わたくしはマッティア様に食べろだなんて無責任な事を……」



 わたくしが泣きながら座り込んでしまうと、エフィージオ様が膝をつき、わたくしの背中をさすって下さいました。



「そうやって泣いてくださる方が、坊っちゃまに現れた事が、爺は何より嬉しいのですぞ。我々は貴方に永遠に許されないような罪深い事を行なったにも関わらず、そのように坊っちゃまを思って下さりありがとうございます」


 わたくしは涙を流しながら、ゆっくりと首を振りました。


「いいえ、罪深きはわたくしも同じです。わたくしは復讐や憎しみの心を捨て、マッティア様を愛してしまいました。なので、罪があるというのなら、それはわたくしにもあります。けれど、わたくしは決めたのです。マッティア様と共に、そしてこの国と共に、この罪を背負っていこうと……」




 その後、泣いた目を冷やし、わたくしは執務室へと戻りました。政務に取り組んでいるマッティア様を見た瞬間、わたくしはマッティア様を抱き締めたくて仕方がなくなりました。



 政務の邪魔をすると、絶対に怒られると分かっていても、わたくしはその衝動を止める事が出来ませんでした。



「ベアトリーチェ?」



 わたくしがマッティア様に突然抱き付くと、マッティア様も、議官の方たちも、皆驚きの声を上げました。



「どうしました? 何かあったのですか?」



 わたくしがマッティア様の膝によじ登り、片膝に跨がるように座り抱きつき直すと、マッティア様はわたくしに優しく問いかけました。


 怒られると思っていたのに……、そんなに優しくされると離れられなくなりそうです。



「何でもありません。ただ……もう少しこのままでいさせて下さい……。あとで、どのようなお叱りも受けますから。今は、どうしても離れたくないのです」



 マッティア様は何も言わずに、わたくしの頭を撫でた後、政務を再開されました。議官の方たちも、その後は特に気にせず、わたくしの裁可が必要な案件の時は、普通に話しかけてきて下さいました。



 国王が女王を膝に乗せながら政務を行う。とても異質な光景だと思います。それなのに、皆……わたくしを責めません。そっとしておいてくれます。



 わたくしがマッティア様の首に腕を回しながら、引っ付いていると、突然腰辺りに違和感を覚えました。わたくしが、マッティア様を見つめると、マッティア様は何食わぬ顔で政務をなされております。
 けれど、わたくしを支える手が、先程から意味深に動いている気が致します……。



「っ……!」


 腰周りを撫で上げられ、わたくしは思わず、ビクッと跳ねてしまいました。マッティア様を睨んでも、平然としています。わたくしの事は見ないで、書類を見つめておりますし。



「っ……ぅ……っ」


 それなのに、マッティア様は書類の山と机で見えないのを良い事にわたくしの体を好きなように撫でまわしています。わたくしは、マッティア様の首に片手をまわし襟首を掴みながら、もう片方の手で口をおさえ、声を出さないようにする事が精一杯でした。



 すると、突然マッティア様の手がドレスの中に入り、わたくしの脚を直接触りました。これには、わたくしは飛び上がってしまいそうになりました。
 必死でおさえ、事なきを得ましたけれど、流石にバレてしまいます。何を考えているのでしょうか……。



「っ……あ、あの、マッティア様……」
「何ですか?」


 わたくしは必死なのに、マッティア様は涼しい顔でわたくしを見ています。わたくしが涙目で睨んでも、まったく気にしていなさそうです。



「やめて、下さい。バレたら、どうするのですか?」
「何の事ですか?」
「っ! んぅ……」


 わたくしは慌てて両手で口を塞ぎ、周りを伺いましたけれど、皆忙しそうで、誰も気付いていなさそうです。
 わたくしはホッとして、またマッティア様を睨みました。けれど、マッティア様は楽しそうにわたくしの脚を直接撫でています。



「っ……調子に、乗り……っすぎですっ」
「何のことか分かりませんね」



 すると、マッティア様は脚の付け根を、つーっと指でなぞりました。その際どい位置を触られて、わたくしは次は本当に飛び上がってしまいました。両手で口をおさえながら、マッティア様の肩に顔をうずめていたので、声は出さずにすみましたけれど、流石にこれはマズイのです。



「おや、どうしました?」



 マッティア様はとても意地悪な声で、わたくしに問いかけながら、ドレスの中の手は止めて下さいません。そうこうしている内に、マッティア様の指がわたくしの秘所に触れました。
 わたくしは首を振りましたけれど、マッティア様は書類に目を向けながら、楽しそうに笑っています。



 己でも分かるくらい、わたくしのソコは濡れてしまっていて、触られる度、体が跳ねそうで、声が出そうで、わたくしは両手で口をおさえながら、マッティア様の肩に顔をうずめ、耐えることしか出来ませんでした。



「ココ、凄いですよ。こんなところで感じているのですか?」
「っ……!」



 耳元で、そう囁かれ違うと言いたいのに、声を出してしまえば、完全に我慢が出来なくなってしまいそうなわたくしは、マッティア様を睨むことしか出来ませんでした。
 秘所の蕾を指で擦られ、わたくしは何も考えられなくなりそうでした。けれど、理性を手放す訳には参りません。マッティア様はわたくしがイキそうになると寸止めし、またわたくしを高めるという悪戯を繰り返しました。


 イク訳にはいかないのですけれど、わたくしは声も出せず、イカせても頂けないのが辛くて堪りませんでした。



 その後も、マッティア様はずっとわたくしの体で遊びながら、平然と政務を続けられ、わたくしはマッティア様と議官の方がお話をされる度、バレるのではないかと、冷や冷やしていました。



「女王陛下ご気分が優れないのですか? お顔がとても真っ赤です。お熱があるのでは?」
「っ! い、いえ、だ、大丈夫……っ……ですっ……っぅ」
「ですが、声も大分苦しそうです。陛下から離れたくないと思われるのも体調が良くない為でしょう? 今日はもう休まれた方が良いのでは?」



 とうとう指摘されてしまったではないですか……マッティアのバカ、バカ、バカ。



「そうだな。特に急を要する案件もない。今日はこれにて終いにし、ベアトリーチェを寝かせることにしよう」


 マッティア様はわたくしのナカから指を引き抜き、わたくしを抱きかかえたまま立ち上がり、執務室を出て行かれました。わたくしは、指を抜かれる瞬間ですら声が出そうになって大変だと言うのに、平然としているマッティア様が恨めしいのです。



 議官の方もその方が良いと言って、わたくしの体を心配して下さいました。
 うぅ……心が痛みます。体調が悪いのではないのです。マッティア様が変な悪戯をするから……。
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