鬼畜柄の愛撫シリーズ 番外編

Adria

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42.お仕置き(チェチーリア視点)

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「やっ、あ……あぁ……、待っ、も……だめっ……許しっ、あああっ!」


 フィリップがずっと胸を触っている。でも、他の部分は触ってくれない。

 ずっと胸を触られていると……じんわりと痺れてきて、体の芯が熱くなってきた。片方の胸の乳輪を舌でなぞられ、焦らすようにもう片方の胸を触られると、触られていない筈の腰が浮いた。


 触れられていない下腹部が切ない……。
 けれど、私の脚の間にはフィリップの片脚があるので……両脚を擦り合わせることも出来ない。


「やっ、やぁ……フィリップ、もう胸は……いやなの……」
「嫌? でも、消毒しなければならないから、もう少し我慢しようね」


 本当にもう少し?

「フィリップ……やぁっ!」

 私が身動ぐと、脚の間にあったフィリップの脚が私の秘所を、くちゅり、と刺激した。


「君たちは胸を触りあって感じていたのだろう? だから、こんなに濡らしているの?」
「ち、違っ……あっ、やだっ、ああっ!」


 違うの……。これはフィリップが触るから……。


「何が違うの?」
「フィ、フィリップがっ……触る、からっ……あっ、ああっ」
 

 フィリップは私の不実を詰るかのように、乳首を摘まんだ。


「違わないよ。触り合っている時のシシーの声……少し感じていた。他の誰かを誤魔化せても、私の事は誤魔化せないよ」
「そ、そんな……違っ……、あっ、本当にっ、ひゃつ、あ、あっ……違うのっ」


 自分でも気づいていないだけで……少し感じてしまっていたのだろうか? そう思うくらい……フィリップの言葉は低く、重く感じられた。

 私はただ……皆とはしゃぐのは、とても楽しかっただけなのに……。でも、胸を触らせたり、触ったり、するのはいけない事だったのかもしれない。


「シシーだって、胸が弱いでしょ。胸だけじゃなく、全身弱いくせに……。ほら、少し触れるだけでこんなに可愛らしく反応して……」


 フィリップの言葉は……戸惑いさえも羞恥に変える気がする……。私はフィリップに胸を弄られて……言葉にならない声をあげながら、何度も「ごめんなさい」と謝った。けれど……その声は全て嬌声に呑み込まれてしまった。


「ひゃっ……ああ、ごめんなっ……も、やぁ……っ、フィリップ、フィ、リッ……あっ、ひあぁっ……ごめっ、ごめんなさっ、やぁっ」


 フィリップはとても優しい笑顔で、私に触れる。けれど、その手がとても冷たい気がする。何故だか遠く感じられる気がする……。

 怒っているのよね……。
 私は優しいフィリップを怒らせてしまったのよね……。


 これが罰なら……ちゃんと受けなければ……。


 でも、手を拘束されているのは悲しい……。
 フィリップに抱きつけないのは、罰を受けるよりも悲しい……。


「フィリップ……手、離しっ……わ、私……フィリップに抱きつきたいの……抱き締めて欲しいのっ」


 さっきまで頬をゆっくりと伝っていた涙がボロボロと大きくなってこぼれ落ちた。


「シシー」

 フィリップは私の頭の上で一纏めに拘束していた手を外し、困惑したように私の顔を覗き込んだ。そのフィリップには怖さ、はもうなかった。


「フィリップ……ご、ごめんなさい……。フィリップを傷つけてしまいました、怒らせてしまいました。罰なら受けます」


 目の前にいるフィリップに縋りつくように、ギュッと抱きつくと、フィリップが私をキツく抱き締め返してくれた。

 暖かい……。
 抱き締めて貰うと、フィリップの暖かさを感じた。


 さっきまでのフィリップは怖かった……。
 怖かった……。


「すまない。他の者がシシーに触れたかと思うと、我慢が出来なくなって……感情をぶつけてしまった……」
「フィリップ……」
「怖がらせたね。すまない……」
「そ、そんな事……そんな事ありません! ごめんなさ……ごめんなさい!」


 フィリップが、とても悲しそうな顔をしたから、私は精一杯首を横に振って、否定した。


 フィリップは悪くない。
 悪いのは私だ。はしゃぎ過ぎて、フィリップの気持ちをおもんばかれなかった私だ。


「フィリップ……続きをして下さい。でも、此処ではなくお部屋が良いです……」
「そうだね、部屋に戻ろうか」


 やっぱり外というものは落ち着かない。
 いつ……誰が通るかもしれない場所だと、ソワソワしてしまう。

 フィリップは違うのかしら?
 外、でも気にならないのかしら?


「折角だから、散歩をしながら戻ろうか」
「は、はい……」


 フィリップは私の衣服の乱れを正し、抱き上げてくれた。フィリップに抱き上げて貰いながら、私はフィリップの首に手を回し、ギュッと抱きついた。


「フィリップは……フィリップは、外でするのが好きなのですか?」
「シシー?」
「そ、それなら、私頑張ります。恥ずかしいですけれど、フィリップに我慢をして欲しくないので……」


 すると、フィリップは肩を震わせてクスクスと笑い始めた。抱き上げられているので、その振動がよく分かる。

 え? どうして笑うの?


「先程はイライラしていた事もあり、2人きりになったら襲ってしまっただけだよ。悩ませてしまったね」


 良い子、良い子、と頭を撫でてくれるフィリップに、「では外でなくても良いのですか?」と聞くと、フィリップは「そうだね」と言ってくれたので、私は内心ホッとした。



 フィリップはゆっくりと庭園を回ってくれた後、部屋へと戻ってくれた。

 お部屋は畳というものが敷かれているお部屋で、上座の方が一段高くなっていて、御簾というものが掛かっていた。

 そのお部屋を抜けて奥に行くと、寝室があった。
 こちらの国の文化はベッドではないらしく、しとねという寝具なのだそう。

 その上に、ゆっくりと乗せられると体をふわっと寝具が包み込んだように感じた。
 畳の上に敷かれているからと言って……固い、というものもなく、フカフカしていた。


 それに不思議と暖かく、お日様の香りがした。


「何だか、床に押し倒しているみたいで、悪いことをしている気分だね」
「私も少しドキドキします」


 何故かしら?
 寝具の上なので……床、ではないのだけれど……、不思議な倒錯感がある。


 いけないことを今から始めるみたいな……ドキドキ感があった。


「シシー、良い? 今宵は加減が出来ないかも……。怖かったり、痛かったりしたら言うんだよ」
「大丈夫です。フィリップ……お仕置きなのでしょう? なら、少しくらい酷くしてくれても大丈夫です。ただ……」
「ただ……?」
「手を拘束されるのは嫌です。抱きつきたいですし、抱き締めて欲しいです」


 それがあれば、少しくらい酷かったって大丈夫。
 フィリップが私を愛してくれているからなのだと言うことが、ちゃんと分かるもの。


「承知したよ」

 その言葉と共に、キツく抱き締められて、深く口付けられた。


◆後書き◇

 フィリップは怒っていたって、チェチーリアの様子を見て止まれる人なので、そんなに酷いことはしませんよね。ちゃんと「待て」が出来る紳士なので(笑)

 次は暴走してしまうロベルトのお仕置きです。
 彼の方が、ちゃんとお仕置きしてくれると思います(笑)
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