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第三章
splash 22
しおりを挟む「今日此処に来たのは、コラボCMについてです。」
「コラボCM?」
コラボって事は…この事務所にいるアイドルの誰かとコラボをするって事だよな。あの人気俳優、早坂 伊織とCMなんて出たら、彼の影響から一気に人気が上がりそうだ。ならば、こんな所で引き止めてしまう訳にはいかない。
「早く行かないとですね。俺も、そろそろメンバーが来る時間なので、これで失礼します。」
「えっ、」
彼が何か言い出す前に、頭を下げて、その場から立ち去る俺。ちぇ、と拗ねた様な早坂 伊織の声が聞こえてきたが、前を向いたまま歩き続けた。
色々取り乱して、クールを忘れていたが、俺の本業はアイドルだ。
いくら憧れだからって、それを表向きにしてはならない。集中だ、集中。
さっさと立ち去っていく俺の背中を眺めながら、クスクスと早坂 伊織が続ける。
「シユン君、他人事みたいに言ってたけど、気付いてないのかな。」
「あの様子からだと、まだ、担当の方から聞かされていないみたいですね。」
マネージャーが即座に答えると、「シユン君、ビックリして固まりそうだもんね」と更に微笑を浮かべる彼。彼と再び再会するなんて知らずに、俺はメンバーの元へと急いだ。
「おっ、はよー、シユン。何そんな焦った顔してんの。」
楽屋の扉を開けるなり、そう声を上げたのはレイ。
ペットボトルの水を飲みながらこちらを驚いた様に見ていた。「ちょっと、有名な人に会ってビックリして」と近付くと、「へぇー」と興味無さそうに返答する。
「そういえば、着くなり、リンが忙しそうに出て行ったな。」
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