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第20話 ロリータ腹黒巨乳バニーは頭が回る
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「なんで⁉ どういうこと⁉ どうしてこの子が、仲間に……⁉」
やっとのことで起きてきたイスカは、ニハルの腕にがっしりしがみついて離れないライカを見て、目を白黒させた。
「ねぼすけボディガード。お前が寝ている間に、色々あったんだよ」
ニハルのピンチの間も、熟睡し続けていたイスカに対して、アイヴィーはジト目を向けた。
その「色々」について、イスカとしては詳しく聞きたいところであったが、それよりも先にニハルが、まあまあ、となだめに入ってきた。
「とりあえずは一件落着だから、気にしないで♪ とにかく、ライカは今日から私達の仲間だから」
「だけど、その子は、ニハルさんのこと……」
「そーだね、私にあんなことやこんなことしたい、って思ってるね♪」
「いや、ダメでしょ! アイヴィーさんとかは、まだ理性的だけど、その子は――」
かなり警戒しているイスカに対して、ライカはギロリと睨みつけてきた。
「なーに? 何か文句でもあるの?」
「あの、露骨に、相手によって態度を変えるの、やめてくれないかな……」
「だって、あなたむかつくんだもん! おねーさまのそばに寄るオスってだけで万死に値するのに、おねーさまのハートを射止めてて……!」
「万死に値するとか、十二歳の女の子が使うセリフじゃないね……」
「とにかく! せいぜい束の間の栄華を楽しんでいるがいいわ! おねーさまを最後にモノにするのは私! この私なんだからね!」
そう宣言して、ますますギュウウウ、とニハルに抱きついてくるライカ。
ニハルは相変わらずニコニコしている。
「ねえ、ところで、ライカ。約束のこと、忘れてないよね?」
「約束? 約束って、なんでしたっけ、おねーさま」
「私の勝ちが確定したら、ライカが私に隠していること、全部話してもらう、っていう約束」
「か、隠していること……? 何を言ってるの、何もないよ」
「本当に? 嘘ついたら、ダメだよ」
笑顔を絶やさぬまま、ニハルはジッとライカの目を覗き込んでくる。変に凄まれるよりも、穏やかな雰囲気で迫られるほうが、かえって怖いこともある。
ライカは、グッ、と言葉を詰まらせた。
「カジノで何かあったんでしょ」
ニハルに追及されて、とうとう、ライカは観念した。
「実は……カジノが大変なことになってるの」
「それって、ルドルフが絡んでくること?」
「うん。おねーさまがカジノを出ていってから、あいつ、八つ当たり気味に色んなバニーに手を出して……」
話ながら、ポロポロと、ライカは涙をこぼし始めた。
「私、ルドルフにエッチなお仕置きされそうになった、って言ったよね……地下の暗くて湿った部屋に閉じ込められて、そこに、スライムをけしかけられたの……女の子の体液を食料とする、いやらしいスライムを……」
「何それ、ひどい!」
「でも、ひどい目に遭う前に、他のバニーが助けてくれて、なんとか逃げ出すことができたの。それで、このコリドールへ移動して……」
「それで、私の前で爆死しようとしたわけ?」
「ヤケになってたの……もう、何もかも、この先に希望が見えなくって……」
「つらかったんだね、ライカ……」
グスン、とニハルもまたもらい泣き気味に、目を潤ませ、鼻をすすった。
そんな二人のやり取りを、冷めた目で見守っているのは、イスカとアイヴィーだ。
「いや、だからって、爆弾まで用意して、自爆しようとする⁉ ふつう⁉」
「オレには理解できない……! まったく理解できない……! お前の思考回路、どうなってんだよ!」
ツッコミを入れてくる二人に対して、ライカはキッと睨みつけた。いつの間にか涙は消えている。
「うっさいな! いま、せっかくおねーさまが私に寄り添ってくれようとしていたんだから、茶々入れないでよ!」
「まあまあ、ライカ。落ち着いて」
「はい♡ おねーさまあ♡」
ニハルに対する態度と、他の者に対する態度が、極端に違いすぎる。あまりの二面性に、イスカもアイヴィーも呆れた表情で、言葉を失っていた。
「そしたら、いま、カジノの中はだいぶ荒れてるんだね」
「うん。まだ手を出されてないバニーも、いつ自分達が食い物にされるかって、毎日怯えているの」
「ルドルフに対する不満が溜まっている感じ?」
「そうだね……ルドルフに食べられちゃった子も、そうでない子も、みんな、あいつに対して憎しみを抱いていると思う」
「ねえ。ライカ。あなたは頭がいいよね。そんなあなたなら、いい案が思いつくんじゃない?」
「いい案? なんの?」
「打倒ルドルフ」
キラーン、とニハルの目が光った。
「いま、あいつはカジノで孤立しているような状態でしょ。それってチャンスだと思うの。あの暴君さえ倒せば、カジノは健全な場所になると思う。そうなったら、私も、あなたも、ルドルフの追手に悩まされなくて済むと思うの」
「そ、そんなこと、できるの⁉」
「できるかできないかは、あなた次第だよ、ライカ♡」
ニハルの、ライカが持つ知恵に対する信頼は深い。一点の曇りもなく、あなたのことを信じている、と言わんばかりの眼差しで、ニハルはジッと見つめてくる。
ポッ、とライカは頬を染めた。
「あ、愛するおねーさまに、そこまで言われたなら……ちゃんと応えないとね♪」
ライカは、モジモジと恥ずかしそうに体をくねらせている。
そんな彼女を見て、アイヴィーはひと言、
「……ちょろ」
と呟いた。
それを聞き逃さなかったライカは、キシャー! と敵意を剥き出しにして、アイヴィーに向かって唸り声を上げた。
「そこ! うるさい!」
「ライカ。さっそく何か作戦を考えてちょうだい」
「はい♡ おねーさま♡」
コロッと態度をあらためたライカは、うーん、と唇に手を当てて、考え始める。
数秒後、ウンウンと頷きながら、こんなことを提案してきた。
「そこの二人を新人バニーとしてカジノに送り込む――っていうのは、どうかな?」
そこの二人、といってライカが指さしたのは――
アイヴィーと……
まさかの、イスカだった。
やっとのことで起きてきたイスカは、ニハルの腕にがっしりしがみついて離れないライカを見て、目を白黒させた。
「ねぼすけボディガード。お前が寝ている間に、色々あったんだよ」
ニハルのピンチの間も、熟睡し続けていたイスカに対して、アイヴィーはジト目を向けた。
その「色々」について、イスカとしては詳しく聞きたいところであったが、それよりも先にニハルが、まあまあ、となだめに入ってきた。
「とりあえずは一件落着だから、気にしないで♪ とにかく、ライカは今日から私達の仲間だから」
「だけど、その子は、ニハルさんのこと……」
「そーだね、私にあんなことやこんなことしたい、って思ってるね♪」
「いや、ダメでしょ! アイヴィーさんとかは、まだ理性的だけど、その子は――」
かなり警戒しているイスカに対して、ライカはギロリと睨みつけてきた。
「なーに? 何か文句でもあるの?」
「あの、露骨に、相手によって態度を変えるの、やめてくれないかな……」
「だって、あなたむかつくんだもん! おねーさまのそばに寄るオスってだけで万死に値するのに、おねーさまのハートを射止めてて……!」
「万死に値するとか、十二歳の女の子が使うセリフじゃないね……」
「とにかく! せいぜい束の間の栄華を楽しんでいるがいいわ! おねーさまを最後にモノにするのは私! この私なんだからね!」
そう宣言して、ますますギュウウウ、とニハルに抱きついてくるライカ。
ニハルは相変わらずニコニコしている。
「ねえ、ところで、ライカ。約束のこと、忘れてないよね?」
「約束? 約束って、なんでしたっけ、おねーさま」
「私の勝ちが確定したら、ライカが私に隠していること、全部話してもらう、っていう約束」
「か、隠していること……? 何を言ってるの、何もないよ」
「本当に? 嘘ついたら、ダメだよ」
笑顔を絶やさぬまま、ニハルはジッとライカの目を覗き込んでくる。変に凄まれるよりも、穏やかな雰囲気で迫られるほうが、かえって怖いこともある。
ライカは、グッ、と言葉を詰まらせた。
「カジノで何かあったんでしょ」
ニハルに追及されて、とうとう、ライカは観念した。
「実は……カジノが大変なことになってるの」
「それって、ルドルフが絡んでくること?」
「うん。おねーさまがカジノを出ていってから、あいつ、八つ当たり気味に色んなバニーに手を出して……」
話ながら、ポロポロと、ライカは涙をこぼし始めた。
「私、ルドルフにエッチなお仕置きされそうになった、って言ったよね……地下の暗くて湿った部屋に閉じ込められて、そこに、スライムをけしかけられたの……女の子の体液を食料とする、いやらしいスライムを……」
「何それ、ひどい!」
「でも、ひどい目に遭う前に、他のバニーが助けてくれて、なんとか逃げ出すことができたの。それで、このコリドールへ移動して……」
「それで、私の前で爆死しようとしたわけ?」
「ヤケになってたの……もう、何もかも、この先に希望が見えなくって……」
「つらかったんだね、ライカ……」
グスン、とニハルもまたもらい泣き気味に、目を潤ませ、鼻をすすった。
そんな二人のやり取りを、冷めた目で見守っているのは、イスカとアイヴィーだ。
「いや、だからって、爆弾まで用意して、自爆しようとする⁉ ふつう⁉」
「オレには理解できない……! まったく理解できない……! お前の思考回路、どうなってんだよ!」
ツッコミを入れてくる二人に対して、ライカはキッと睨みつけた。いつの間にか涙は消えている。
「うっさいな! いま、せっかくおねーさまが私に寄り添ってくれようとしていたんだから、茶々入れないでよ!」
「まあまあ、ライカ。落ち着いて」
「はい♡ おねーさまあ♡」
ニハルに対する態度と、他の者に対する態度が、極端に違いすぎる。あまりの二面性に、イスカもアイヴィーも呆れた表情で、言葉を失っていた。
「そしたら、いま、カジノの中はだいぶ荒れてるんだね」
「うん。まだ手を出されてないバニーも、いつ自分達が食い物にされるかって、毎日怯えているの」
「ルドルフに対する不満が溜まっている感じ?」
「そうだね……ルドルフに食べられちゃった子も、そうでない子も、みんな、あいつに対して憎しみを抱いていると思う」
「ねえ。ライカ。あなたは頭がいいよね。そんなあなたなら、いい案が思いつくんじゃない?」
「いい案? なんの?」
「打倒ルドルフ」
キラーン、とニハルの目が光った。
「いま、あいつはカジノで孤立しているような状態でしょ。それってチャンスだと思うの。あの暴君さえ倒せば、カジノは健全な場所になると思う。そうなったら、私も、あなたも、ルドルフの追手に悩まされなくて済むと思うの」
「そ、そんなこと、できるの⁉」
「できるかできないかは、あなた次第だよ、ライカ♡」
ニハルの、ライカが持つ知恵に対する信頼は深い。一点の曇りもなく、あなたのことを信じている、と言わんばかりの眼差しで、ニハルはジッと見つめてくる。
ポッ、とライカは頬を染めた。
「あ、愛するおねーさまに、そこまで言われたなら……ちゃんと応えないとね♪」
ライカは、モジモジと恥ずかしそうに体をくねらせている。
そんな彼女を見て、アイヴィーはひと言、
「……ちょろ」
と呟いた。
それを聞き逃さなかったライカは、キシャー! と敵意を剥き出しにして、アイヴィーに向かって唸り声を上げた。
「そこ! うるさい!」
「ライカ。さっそく何か作戦を考えてちょうだい」
「はい♡ おねーさま♡」
コロッと態度をあらためたライカは、うーん、と唇に手を当てて、考え始める。
数秒後、ウンウンと頷きながら、こんなことを提案してきた。
「そこの二人を新人バニーとしてカジノに送り込む――っていうのは、どうかな?」
そこの二人、といってライカが指さしたのは――
アイヴィーと……
まさかの、イスカだった。
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